かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

中央線高架下の赤煉瓦

2011-05-04 | まちかどの20世紀遺産

愛岐トンネル群見学の帰り道、定光寺~高蔵寺間の中央線の高架下にでレンガ造の橋脚を見つけました。
高蔵寺~多治見間が開業した明治33年当時のものと思われますが、堅牢なイギリス積みの赤煉瓦に隅石を配したジョージアン様式で、当時コンドルなどイギリス人建築家に好んで用いられました。

その後大正期に入る頃から煉瓦は耐震性に劣ることが判明し、構造材としての地位を鉄筋コンクリートや鉄骨に譲り、煉瓦の構造物は次第に姿を消して行きます。
しかし鉄筋コンクリート構造が主流になった1920年以降も、赤煉瓦の持つ独特の質感と美しさは表面を覆う化粧財という形で生き残り、鉄筋コンクリート構造を覆う化粧タイルとして100年以上を経た現在も使われています。(ちなみに我が家の玄関ポーチのアーチにもFRP製の化粧煉瓦が使われています)

日本古来の神社仏閣や茅葺屋根の民家などは日本人の心の中の原風景と言えるものですが、私たちは明治になって欧米から入ってきた赤煉瓦のある風景にもどこか居心地の良い懐かしさ(ノスタルジー)を感じます。
赤煉瓦のある風景は、すでに古き良き日本の風景のスタンダードとして日本人の心に刻まれているのかもしれません。