刃物の町として古くから栄えた関市の中心部を東西に走る本町筋は、戦前から商店が建ち並ぶ町のメインストリートとして賑わいました。現在は郊外に大型スーパーや量販店が建ち並び、どこの地方都市でも見られる旧市街地の寂れた商店街と言った風情が漂い、人通りもまばらです。
そんな本町筋に面して建つ十六銀行関支店は、本町商店街に活気のあった昭和の時代を代表する建物です。昭和15年竣工ということで、昭和初めまで銀行建築に良く見られたオーダーや古典様式の装飾はすっかり姿を消し、現代建築に近いモダニズム建築ですが、角を塔屋風に高くして外壁は茶色のタイルとコンクリートに分割し変化をもたせています。
◆十六銀行関支店/関市本町1-4
竣工:昭和15年(1940)
構造:RC造2階
撮影:2007/03/04
※平成22年7月に関支店は移転、店舗は取り壊された後、関商工会議所になっています。
1~2階の間のコンクリートの縁取りや玄関上のキーストーン風の垂直線に様式建築の名残が感じられます