かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

須田写真館(岐阜県関市)

2011-05-18 | 岐阜市周辺の近代建築

 地方の町で洋風建築と言えば、役場や組合事務所、銀行、郵便局など公共性の高い建物がほとんどですが、比較的どこの町でも洋館建てになっている確率が高いのが、医院、薬局、写真館です。
 外国から入ってきた最新の知識や技術、道具を扱うこれらの職業には、町の人々が建物を一目見てそれと分かるステイタス性の高い最新の洋風建築がぴったりだったのです。
 特に写真館は一般にカメラが普及する昭和40年代頃までは、家族で写真を撮ってもらう晴れの場として、町の人々に親しまれてきました。写真館と言えばレトロな洋風建築が定番ですが、そんな町の写真館も手軽に撮影、プリントできるデジタルカメラの登場ですっかり影が薄くなってしまいました。
 
 関市の須田写真館は大正11年築の洋風建築で、外装をリニューアルして現在も大切に使われています。大正、昭和、平成と時代の記憶を刻んできた古い写真館は、これからも町の人々の思い出を次の時代に引き継いでいきます。

◆須田写真館/岐阜県関市西門前町1
 竣工:大正11年(1922)
 構造:木造3階
 撮影:2007/03/04