最近日常で、マッチというものをあまり使わなくなった気がします。我が家でもマッチを使う機会は、仏壇のロウソクに火をつけるときくらいで、火を使う製品(コンロやストーブ)には着火装置が付き、電磁調理器の普及もあり、一般家庭ではマッチは影の薄い存在になってしまいました。
思えば私が子どもだった昭和40年代頃までは、大箱の徳用マッチはもちろん、家の至る所で飲食店などの店名が入ったマッチの小箱を見かけたものでした。当時マッチはあらゆる着火に広く用いられ、無料でもらえる銀行や喫茶店などの広告入りマッチはどこの家庭でも重宝したものです。
マッチがまだ生活に密着していた頃は、タダでもらえる店名入りのオリジナルマッチを蒐集するコレクターもたくさんいました。実は数年前に他界した私の父もマッチコレクターだったらしく、父の部屋の押入れにあった有田みかんの段ボール箱から、飲食店などで蒐集した大量のマッチを発見しました。
昭和50年代当時のマッチ箱を眺めていると、各店オリジナルの多種多様なデザインに思わず感心してしまいます。小さなマッチ箱には店名のロゴやイラストが描かれているのですが、まさにひとつの作品と呼ぶのにふさわしい出来栄えで、なかなか奥の深いものです。今はネットで店の情報がすぐ手に入る時代ですが、昭和の時代ならではの告媒体としてのマッチ箱は、レコードジャケットと同じように、今だからこそ面白いアナログ的アートな世界が楽しめます。
父が生前集めた「昭和のマッチコレクション」、このままお蔵入りするのはあまりに忍びないので、このブログでそのアートな世界を紹介することにしました。小さなマッチ箱に拡がる昭和な雰囲気を皆さんも楽しんでください。
■今では珍しい自治体がたばこ販売促進用に配布したマッチ。
「今日も元気だ たばこがうまい」は昭和世代の人にはおなじみのフレーズ。
しかし、たばこ離れが進む現代と比べると隔世の感が否めませんが、こんな時代もあったのです。
■たばこ購入時についてきた、たばこのパッケージをデザインしたマッチ。
ハイライトは昭和40年代、父に頼まれてよくたばこ屋にお使いに行ったものでした(当時確か80円)
ショートホープの中箱の裏側には謎の2桁の数字(製造番号か?)が印刷されていました。
大学生の頃、すべての数字を集め専売公社へ送ると粗品がもらえるという都市伝説を聞いたことがあります(笑)
■たばこ屋さんなどで購入するマッチには色々なシリーズがありました。
下は「世界の旅シリーズ」と「わらべ唄」シリーズ。
■たばこ屋のショーケースの変遷~左から順に戦前、昭和30~40年代
平成26年現在の成人男子喫煙率は30%ですが、私がたばこを吸い始めた大学生の頃(昭和50年代初め)の喫煙率は実に75%でした。当時は友人たちと喫茶店に入り、暇にまかせて灰皿が吸殻の山になるまでねばったものです。
どんな小さな喫茶店にも必ず店名入りのマッチが常備され、灰皿の横に置いてあったり、店の人に声をかけるとすぐに持ってきてくれました。その頃は100円ライターも普及し始めていましたが、喫茶店のマッチはなんとなく持ち帰り、気がつくといつの間にかマッチ箱がたまっていたものです。
■最近は現役で営業中の昭和のたたずまいを残すたばこ屋も少なくなりました。
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