以前、書きました「凄いミシンの整備が待ち構えています」というのは、今回ご紹介します
ジョーンズ社(イギリス)製と思われるミシン。その独特なフォルムから通称「ジョーンズハンド」と呼ばれる逸品です。
ジョーンズ社は1859年から歴史が始まり、この「ジョーンズハンド」は1880年頃のミシンとされます。
この機種は、当時の英国第一皇太子妃「アレキサンドラ」が使用し、絶賛したことから英国王室御用達
のような扱いになった歴史があります。
当方が入手した時点ではハンドルも回らず、錆びも目立ち単なるインテリアとして飾られていたものでした。
外装のクリーニングから磨き作業を掛けながら各部品のチェック作業。欠品がほぼ無いことを確認し
次は難関の試行錯誤の可動へと移行して行きます。
幸運にも残っていたシャトル(下糸ボビンケースとボビン)。
今まで見て来た「シンガー製(砲弾型)」や「ドイツ製(ボート型)」とも違う形をしています。
正面右下の下糸巻き機でボビンに糸を巻きますが、プーリーの内側に接する車が擦り減った状態で
回転が鈍く、スムーズにボビンに糸を巻けない中、何とか試縫い用ぐらいの長さを巻きボビンケースへ。
そして、本体に装填したところです。
ここから、下糸が上手い具合に引き上げられたら幸いですが、そんな心配をよそに一発で引き上げに成功。
引き続き、試縫いの作業ですが当時の資料も何も無い状態で、今までの経験値のみで試縫いを行います。
少しバラ付きはあるものの一応は縫えること確認。これについては上糸の掛け方の再考と、
下糸の強さを調整(ボビンケースで調整)すれば綺麗に縫える範囲と判断します。
そんな試縫いも施したところで外観のご紹介です。
130年以上の年月を考えれば未だ「金細工模様」は残っている方でしょうか。
正面より背面の方が弱冠、現存率は高いようにも感じます。
ハンドル(プーリー等)部分の状態は奇跡的に非常に良い状態です。
この英国製やドイツ製ミシンでよく見掛ける、車(プーリー)の溝は足踏みミシンとしても使用出来るように
予め、革ベルトを掛けることが出来るようにしてあると言われてます。
現に、このミシンの4本の猫脚部分の裏面には裏側からビスで止めれそうな穴が空いております。
そして、真上からの「ひょうたん型」の独特なフォルム。
今まで携わった「アンティークミシン」の中では最高の逸品となります。
イギリス・ジョーンズ社ハンドソーイングマシン/1880年: 価格応談