木部の状態が悪かった「ALL LEAD製手回しミシン中期型」。
悪い部分は取り除き、埋め木を施したり新たに作り直したりで機械物の割には木工で手間が掛かってしまいました。
ただ、救いはミシンヘッド部分の状態が良かったことで、後期型のヘッドに前期型のプーリー手回し部を備える
希少な「中期型」を甦らせることが出来ました。
金細工模様の残存率も高いヘッドと錆の具合が良かったため敢えてそのままで仕上げたプーリー部分。
底板は完全に朽ち果てていたため新たに作り直した底板部分。
開閉用のスプリングプレートは破断していたため備わっていませんが使用には問題ありません。
そのスプリングプレートの残骸と共に各アダプターと専用のナット回し工具1本が小箱に備わっています。
試縫いもいつものように行っております。
単環縫いの裏面ステッチ側になります。(黒糸を使用したため見難く恐縮です)
こちらはヘッドの裏側になります。
色艶や金細工模様の状態も良い方です。
上箱用の金具類も今回は敢えてそのままの状態で仕上げております。
浮き錆びは取り除いておりますが錆びた状態が又、趣がございます。
上箱も一部表皮が捲れて欠損していましたので補修の上補色を施し、蜜蝋にて仕上げています。
今まで数多くの「ALL LEAD製手回しミシン」を手掛けてまいりましたが、改めて「ALL LEAD社」について
説明させていただくと、戦前~戦中に東京麻布で生産していた国産ミシン会社で、戦後も長野に移転し
1976年頃まで存在していた会社です。
ヘッド部分のネームは「ALL」「ALL LEAD」「LEAD」の3種類があるようですが、これは「ALL」のネーム。
この個体も裕に70年以上の歴史を刻んでおります。
前回も述べましたが、最近は段々と程度の良い「ALL LEAD」も少なくなって来ているように感じています。。。
ALL LEAD製手回しミシン/中期型: ¥40,000-(送料別)