古物商  showa 土花亭

          効率性や利便性だけで埋め尽くされた今の時代。少しだけ時計の針をゆっくりと進めてみませんか。

マリヤミシン:東京洋裁研究會/戦前

2015年06月29日 | ミシン

これはまるで奇跡かと思います。

小さな木箱(28cm×16cm×H20cm)は何十年もの間手つかずで開けられることもなく、

タイムカプセルのように何処かの押入れ奥深くに眠っていたようにも思えます。

その蓋を開けてみると中には今まで観たことも無いようなミシンが入っています。

説明書に注意事項が記された札、そして、この手の手回しミシンのヘッドを作業机に固定するクランプが付属。

説明書の裏表紙に記載された「書留小包及荷造料」の記載欄。そこには「内地」と「植民地」宛ての料金記載。

そのことから戦前の1930年代のものであることが理解できます。

取り出して各部をチェックしてみると何故、奇跡的にこのような綺麗な状態で残っていたのか、

その理由が直ぐに理解出来ました。

欠品部品もあるには有ったのですが何より、ミシン針が内部で折れた状態であったこと。

その残骸が残され、新たに針を着けることが出来なくなり、お蔵入りの運命を辿ったのあろうことが想像出来ました。

何とか折れた針の残骸を取り除き、分解しながらの欠品部品の取り付け。

革ベルトの伸びがあるため調子はイマイチですが調整を施せば使える状態です。

構造は下糸のない単環縫い(ステッチ縫い)。針目調整と糸調整のみの手回しミシンになります。

この「マリヤミシン」については資料が残っておりませんが説明書には「純国産」「新案特許」の文字と

当時の販売価格、ミシン本体:¥六円に木箱:¥一円と記載がございます。

当時、段々と「文化生活」が普及しつつあり、洋裁についても要求されて来た時代。

高額な舶来ミシンはどうしても手が届かない時に「東京洋裁研究會」が開発販売したミシンと思われます。

マリヤミシン:東京洋裁研究會/戦前: 非売品

 

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精工舎コロナ系プラコメット(目覚ナシタイプ)/昭和30年

2015年06月25日 | 時計

あまり見たことのない「コメット」がいつものように不動状態でやって来る。

形からすると昭和30年頃の「コメットD」に似ているが、特記すべきは目覚ましが無いタイプであること。

相当、汚れています・・・。と言うかボディが劣化してます。

剣(針)に蛍光塗料がないのは目覚まし機能がないためか、蛍光塗料の残骸や剣に痕跡すらありませんので

当初からと判断します。後、欠品は裏の留めナットひとつぐらいで後は揃っていそうに観える。

早速、バラして行きます。

ムーブメントは綺麗なのですが、不動の原因はテンプの軸受が甘すぎて軸がふらついていました。

軸受ワッシャ3枚の内、1枚を取り除き丁度良い加減に調整し注油を施し稼働。

目覚ましが無い分、ムーブメントもあっさりしてます。暫く動かしている内にボディのクリーニングと磨き作業です。

このクリーングや磨き方法は企業秘密なのですが相当な手間が掛かりました。

後は組み付け作業です。

欠品だった裏の留めナットも手持ちのストック部品から調達し装着。(段々とストックも無くなって来ました・・・)

新品のようにとまでは行きませんが結構、綺麗に仕上がった部類です。

今回の作業時間は一晩。。。ム-ブメントが軽傷だと比較的短時間で仕上がります。

蛇の目の文字盤も綺麗になりました。

精工舎コロナ系プラコメット(目覚ナシタイプ)/昭和30年頃: 「非売品」

 

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早川電機工業(シャープ)真空管ラジオ:RS-350型/完成

2015年06月22日 | 家電

いよいよ仕上げ段階です。

チューニングの糸を張り直し、バリコンの動きを確認。いよいよシャーシを木箱に収めます。

正直、錆は取り除けないところは無理に取り除いておりません。あくまでも出来る範囲です。

この段階で一度、通電テスト。

正面、未だ途中の状態です。

パネルやダイヤルノブを取り付けて行きます。やはり中央のノブの色が合ってませんが仕方ありません。

中央のキャップの色に他の二つも合すかですが、折角のオリジナルですから止めておきます。

シャープの七宝エンブレムも磨き上げてます。

電源プラグは当時の雰囲気に合わせております。

裏面のパネルもオリジナルですが補修はしてあります。

そして再度、通電。 マジックアイの発光は劣化しています。

今回、木箱のラジオを初めてレストアしましたがプラ箱に比べ、仕上がれば綺麗にレストア出来る分

結構な時間と手間が掛かりました。

しかし、何かとお騒がせな今の「シャープ」。たまたま、その「シャープ」であった故、創業者の早川徳次に

敬意を表すと共に今の「シャープ」に何とか復活していただきたいという思いもありレストアいたしました。

シャープ RS-350型 6球スーパーラジオ/1953年製: 非売品

 

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早川電機工業(シャープ)真空管ラジオ:RS-350型/レストアvo2

2015年06月18日 | 家電

前回の続きで、木箱を仕上げて行く。

先ずは剥げた塗料を全て剥ぎ落す作業。

ちよっとした当り凹みはあるものの状態は良く、このまま新たに塗装を掛けて行く。

次にダイヤルノブの中央のキャップが一つ欠品していたため新たに製作する作業。

薄い金属板をすりこ木を型に円形凸面をハンマーで叩いて形を成形して行く。

左が新たに製作したキャップで今後、金色塗装で仕上げる。

但し、右側のオリジナルとは色は合わないと思う。(金色というよりオリジナルは真鍮色であるため)

木箱が仕上がり、新たに前面パネルに「サランネット」も張り終った段階です。

(次はいよいよ仕上げの段階。その際の糸も写ってます。)

因みに「サランネット」について一言。

最近はスピーカー用のネットは何でもかんでも「サランネット」と呼ぶようですが実際、流通しているのは

「ジャージネット」です。本来の「サランネット」とは全く違うものなので気を付けなくてはいけません。

今回使用した「サランネット」は当時のレプリカではあるものの非常に高価なものを使用しました。

ギターアンプの「Fender」のレプリカグリルクロスにも使用されているもののオールドラジオ用となります。

「サランネット」が入手できず、仕方なくカーテン用の生地を使用する場合もございますが、仕上がりは

全く違います。。。

次回はいよいよ完成の記事になります。

 

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早川電機工業(シャープ)真空管ラジオ:RS-350型/レストアvo1

2015年06月15日 | 家電

今、何かと話題の「シャープ」。さぞ創業者の早川徳次もお嘆きかと思いますが、そのシャープ製の

真空管ラジオ「RS-350型」をご縁があって譲り受ける。

木製箱の大きさも大きさなのですが、重さも相当な重量でちょっとした家具のようです。

現状は電源コードは切断され、内部は埃どころか砂や小石も入っている状態でとても

鳴くような状態でないことは一目で分る状態。 

ただ、欠品が少なそうなことは嬉しいのですが、この時代のラジオ特有のサランネットの破れは見受けられる。

早速、埃やゴミを屋外で取り除き、屋内に持ち込む前に屋外で通電テストを行うも、結果は予想通り、

電源すら入らない。(当然ですが)

次に屋内に持ち込み木箱にパネル、外せるものは外しながらシャーシを取り出す。

各部品のチェックをしながらクリーニング。怪しげなところは修理を施してゆく。

そして再度、通電テスト。

チューニングは糸が切れていて無いため直接バリコンを動かすと、目出度く鳴いてくれる。。。

ラジオから聴こえる声が何故か遠い昔から聴こえる声のようで、ラジオを触る時のこの瞬間が堪らなく嬉しい。

ここまで来れば今後の作業もやりがいが出てきます。

 

※シャープ RS-350型 6球スーパーラジオ。

1953年(昭和28年)発売当時、¥18,000円もしたという高級ラジオ。

当時の大学卒初任給のほぼ倍の金額です。

 

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