ウェブ上でもオールドカリモク「Kチェア」の座面部分の修理の様子を始め、内部の構造はよく公開されてますが
背もたれの部分については皆無。
そこで今回、ミシン糸の切れている背もたれの修理がございましたので、これがよい機会と思い公開しますね。
座面でもよく見受けられる、ミシン糸が切れて穴だけが残っている状態です。
早速ですが、背もたれについては座面とは違い裏表が露出しているためその分、凝った造りになっています。
先ずは裏面の鋲釘を抜いて行きます。
決して、表面の表皮に工具を当てて抜いてはいけません。
表皮の下の部分に工具を当てて慎重に抜いて行きます。
曲がった鋲釘は再仕使用で使いますので、忘れずに真っ直ぐに直してから保管しておきましょう。
全てが抜けた状態です。
そして、予め下部のステップルも抜いておきましたので、背もたれの頂部を軸にペラっと捲ります。
裏面の表皮の下にはフェルトそして、その下にはジュート(黄麻)という表皮を含め三重の構造です。
特記すべきは頂点の部分、裏面に鋲釘が打たれて無いのはこの様な構造のためです。
厚手の紙を予め表皮に縫い付けてあり、それをステップルで固定そして、折り曲げ返してあります。
次は裏面を全て捲った状態です。
座面のクッション構造(S型バネ)とは違い、ウェービングベルトでの構造になっております。
下地はジュートではなくPEクロスをこの個体は使われていました。
背もたれの表側の構造はウェービングベルト+PEクロス+スポンジ+座面と同じスポンジ付き表皮といった四重構造。
これが全て解体した状態になります。
以前、公開しました「オールドカリモク Kチェアの修理」「オールドカリモク「Kチェアー」の修理」と共にご参考にしてください。