卓上型4号A黒電話については行商等でも人気が高く、段々と在庫も残り少なくなっております。
今回は「4号A電話機」の色々と不思議なお話を。。。
上の黒電話の方の裏側を覗くと「76.2.」のラベルが・・・。
今までもこの場でも書いておりますが、1950年デビューの4号。やがて、1963年に600型がデビュー。
この「76.2.」の表示からすると「1976年2月製」と読むのが素直かと存じますが
600型が既に国内で普及し、1976年というと既に「プッシュホン」も出回っている時代。
なのに何故「1976年」なのか不思議です。
想像するに、当時どこのご家庭でも電話機はレンタル品として扱われ、月々に電話機使用料なるものを
通話料とは別に支払って時代。
これは「旧:電々公社」がレンタル落ちを再レンタルのため再整備を施した時のラベルと思われます。
現にこの手の黒電話のエンブレムは下の「旧:電々公社」のものがほとんどです。
通常、このエンブレムは所有権は電々公社にあり、あくまでも「レンタル品」を表すもので、中途でもし
使用者が買い取りをするとエンブレムは外され、二つの穴が明いたまま若しくは黒いポッチで
穴埋めをされます。
一方、下の電話機のように製造メーカーのエンブレムが着いているものは最初から使用者が
買い取りしたもので言うならば企業若しくは一部、上流家庭で使用されていたもと判断されます。
行商等でも何故か「旧:電々公社」のエンブレム付きの方が好まれるようなのですが、個人的には
各製造メーカーのエンブレム付きの方が良いと思うのですが・・・。
前回から細部を詰め、いよいよ色合わせしながら塗装も終了。
出来栄えとしてはまあまあのレベルかと思います。
先ずは「上宮飾り」。レリーフも真鍮製の方を真鍮釘で打ち込んであります。
そして、自画自賛の柱下部の擬宝珠(数珠)。
杢目もそれらしく左右揃っており上出来です。
そもそも、欠品がある古時計についての考え方として、修復で手を加えるべきか加えないべきか
考え方は色々あるかと存じます。
ただ、時計はあくまでも機械モノ。ゼンマイが切れれば新しいゼンマイに入れ替えますし歯車が壊れれば
直して入れ替えます。
外箱についても出来る限り、オリジナルに近い状態に修復するのであれば、この古時計自身も
納得して頂いているものと考えます。
※精工舎スリゲル1号:6インチセルロイド文字盤・八日巻き・時打式
製造:大正13年から製造販売開始の後、昭和11年製造終了