素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

♪旬感!クラシック*プロムナードvol.10♪

2012年01月29日 | 日記
“メセナひらかた”2Fにある多目的ホールに開場してから5分後ぐらいに入ったが、すでに7割ぐらいの席が埋まっていたのには驚いた。10回という区切りのコンサートで、金子みすゞの詩をテーマに企画されたということが関心を集めたのではないかと思う。開演の14時にはほぼ満員の状態であった。

 ソプラノの木澤香俚(きざわ・かおり)さん、フルートの神野朋子(じんの・ともこ)さん、ピアノの佐野真弓さんの3人によるしっとりと落ち着いた大人の雰囲気の漂う演奏会であった。

 金子みすゞさんの詩に中田喜直さんが曲をつけたものが14あるそうだが、その中から8曲(+アンコールで1曲)を選ばれ演奏された。
♪つゆ♪こだまでしょうか♪みんなをすきに♪わたしと ことりと すずと♪いぬ♪わらい♪おさかな♪たいりょう♪

 ソプラノの木澤さんは♪いぬ♪をイチオシで選んだと言っていた。

  うちのだりあのさいた日に 
  酒屋のクロは死にました。
  
  おもてであそぶわたしらを、
  いつでも、おこるおばさんが
  おろおろないておりました。

  その日、学校(がっこ)でそのことを
  おもしろそうに、話してて、

  ふっとさみしくなりました。


♪おさかな♪たいりょう♪の中に見られるみすゞの独特の視点の話しの中で、フルートの神野さんは「つち」という詩も大好きだと話されていた。
        
こッつん こッつん   ぶたれる土は   
よいはたけになって   よい麦生むよ。 

朝からばんまで   ふまれる土は
よいみちになって   車を通すよ。 

ぶたれぬ土は   ふまれぬ土は  いらない土か。
いえいえそれは   名のない草の   おやどをするよ。


また、「おはじき」という詩とリンクさせて星にちなむ曲♪星のセレナード♪(シャミナード)と♪きらきら星変奏曲ハ長調K.265♪(w.A.モーツアルト)の演奏も粋な演出であった。ソプラノの木澤さんの朗読もよかった。

空いつぱいのお星さま
きれいな、きれいな、おはじきよ。

ぱらり、とおはじき、撒きました、

どれから、取つてゆきましよか。

あの星

はじいて

かう當てて、

あれから

あの星

かう取つて。

取つても取つても、なくならぬ、

空のおはじき、お星さま。


 金子みすゞの才能を見出した西条八十の♪蘇州夜曲♪かなりや♪りんどう峠♪などの演奏も格調高く聴こえた。ジャンルという枠は便宜的なもの。その上に音楽という世界があるということを強く思った。

 




 
コメント
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