素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

気になる動き

2013年08月27日 | 日記
 松江市教育委員会が中沢啓治さんの漫画「はだしのゲン」の閲覧制限を全小中学校に要請していた問題を巡って、ここ数日新聞紙上を賑わせてきた。全面撤回という結論が出たみたいだが、一連の動きを見ていると有川浩さんの「図書館戦争」が架空の物語ではなく現実のものとして感じられた。

 旦那さんと地元の図書館に行った時、旦那さんが入口に掲げられているプレートを見つけ、彼女に「面白いものがあるよ」と呼びかけたことが「図書館戦争」という小説を書くきっかけだったという。そのプレートには『図書館の自由に関する宣言』が書かれてあった。

   図書館の自由に関する宣言

一、図書館は資料収集の自由を有する。
二、図書館は資料提供の自由を有する。
三、図書館は利用者の秘密を守る。
四、図書館はすべての不当な検閲に反対する。

 図書館の自由が侵される時、我々は団結して、あくまで自由を守る。
 


 この5行から文庫版で6冊の長大なドラマをしたてあげる力量には脱帽だが、表現の自由と規制」の問題は古くから存在する難しいものであるということである。歴史の教訓として言えることは、権力を持つ者、団体による恣意的な解釈で規制することはいけない。ということかな。生きた証人も多く存命し、公文書を含め資料もたくさん残っている近、現代史ですら様々なとらえ方がある。多様な意見の存在を認め、それらを元に個々人が自分なりの結論を出し生きていくというのが成熟した民主主義の有り方でないかと思っている。

 それに関連すれば、夕方のニュースでもう1つ気になる報道があった。

 国旗掲揚、国歌斉唱について「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と記述している実教出版(東京)の高校日本史教科書について、大阪維新の会府議団が27日、「使用するのは不適切で、採択すべきでない」などとして、教科書採択から除外するよう府教育委員会の陰山英男委員長に申し入れた。

 教科書の検定制度にも疑問があるが、そのことは抜きにして、少なくとも文部科学省が検定済みの教科書に対して、公人として政治に携わる者がこのような申し入れをして規制を加えようとするのはいかがなものかと思う。さまざまな考えを持つ各種団体が申し入れするならわかる。

 この動きは東京都の動きに連動しているみたいだが、教育改革といい東京都の後追いばっかりしていていいのだろうかと素朴な疑問を持つ。

 そういうことを漠と考えていたら、ニュースは全国学力テストの結果が出て、大阪が全国平均を下回り、下位である。という報道。蔭山さんが謝罪コメント、橋下さんが教育委員会に責任押しつけコメント、松井さんが今のままではいけないコメントがあった。いじめ問題でしばらく鳴りをひそめていた学力テストへの妄信的過敏反応が再燃しそう。ウンザリしている。

 ウンザリと言えば、消費増税に関する集中点検会合もわけがわからない。有識者、専門家から話を聞くよりも衆参両院の議員が集まってしっかり話し合ったらどうなのか。政治のプロなのだから個々人が有識者、専門家から話を聞いたりして学べばいい。良し悪しは別にして1年前からさんざん議論して決まった法案ではないのか。2度の選挙を経て、消費税10%をいち早くぶち上げた自民党が安定政権を獲得したという事実がある。何をグズグズしているのかと思ってしまう。こんなこと続けていたら政治不信はますます増大していく。

 ベストな答のないのが世の常。たくさんの利害のぶつかる社会をどうコントロールしていくかが政治家の使命。決断とその責任を背負ってほしいな。

 朝夕少しすごしやすくなってきたのに、世の中はスッキリとしない息苦しさが続いている。

 

 

 
コメント
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