素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

サードプレイス

2021年06月16日 | 日記
 何かわからないモヤモヤ感がある。そのことに「これだったんだ!」と気づかせてくれる文章に出合うと嬉しい。今日の夕刊の2面、しかも一番下の段にある「ナビゲート2021」である。6人の方が交代で執筆し毎週水曜日に掲載される。ほとんどの場合見過ごしてしまう。
 しかし、今日は違った。真っ先に目に飛び込んで来た。批評家の濱崎 洋介さんが執筆した「生活蝕む過剰自粛」である。朝からニュースで、吉村知事が緊急事態宣言を解除しても国に「まん延防止措置」を要求するということを繰り返し報道されていた。しかも府内ほとんどの地域を対象に3週間~1ヶ月という。
 濱崎さんのタイトルにある「過剰自粛」という言葉に引きつけられたのだ。出だしは次の通り。
《明確な根拠も示されないままズルズルと緊急事態宣言が延長されてしまったが―現に東京の6月の病床使用率は3割で、宣言の大義名分である医療崩壊は全く起こっていない―、宣言延長は、少しずつだが、しかし、確実に私たちの社会生活を蝕みつつある。》そして、最も傷ついているものが「サードプレイス」と呼ばれている場所だと指摘する。
 自宅(第1の場所)や、職場、学校(第2の場所)とは区別される第3の場所である。「子育て」、「仕事」、「勉学」という目的から距離をとって、つかの間の会話、議論、歌、踊りなど個人が自由に横につながっていける場所の喪失を危惧している。
 「サードプレイス」の喪失は居場所をなくした人々の孤立感の増大(自殺)、それを埋め合わせるための「集団」への逃避(全体主義へのあこがれ)を生むことは歴史の教えることである。という。その通りだとガッテンした。濱崎さんは次のように締めくくっている。
《私たちは、この根拠なき過剰自粛の「悪」を軽く見積もるべきではない。》
心して過ごしていかねばとあらためて思った次第。
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