素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

コブシ

2023年03月15日 | 日記
「漢字の植物苑~花の名前をたずねてみれば~」(円満字二郎・岩波書店)は期待通りの本だった。72の植物漢字が歳時記的に季節をめぐりながら綴られている。植物の専門家でないがゆえの視点が面白い。

 春の訪れ⇒初夏から梅雨へ⇒炎熱の夏⇒涼風の秋⇒紅葉、そして冬⇒新年と春の芽生えと話は進むが、コブシは梅の次に登場する。広辞苑では「早春、葉に先立って芳香のある白色六弁の大花を開く」とあると紹介する。円満字さんは高い枝に咲いていることが多いのでその香りを嗅いだことがないと残念がる。私も同じである。今度、意識して香りを確認してみようと思う。近くの法面のコブシも満開が近い。ユキヤナギとよく合う。
     

 コブシを漢字で書くと「辛夷」となるが、牧野富太郎博士は「コブシは日本原産だから中国名があるはずがない」と指摘している。実際、中国の文献での「辛夷(しんい)」モクレンの別名だそうだ。広辞苑でも「なお漢名「辛夷」gあは本来モクレンのこと」と注記してある。と紹介している。あと「辛夷」の由来やそれにまつわるエピソードが簡潔に書かれてある。「漢字の植物苑~花の名前をたずねてみれば~」はこういう感じで違った視点から植物を楽しむことができる。
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