まわる世界はボーダーレス

世界各地でのビジネス経験をベースに、グローバルな視点で世界を眺め、ビジネスからアートまで幅広い分野をカバー。

地球に優しい消費のあり方を、オーストラリア発量り売りのSCOOPのお店から学ぶ

2021-07-08 15:06:25 | シンガポール
オーストラリア発の量り売りの自然食品のお店、SCOOP Wholefoods(スクープ・ホールフーズ)がシンガポールに一号店を出したのは2019年。オーチャードから少し外れたタングリンモールのショップでした。それが2021年7月現在、シンガポールには5店。この8月末にはシティホールのラッフルズシティに6店目がオープンする予定になっています。



私はシンガポールに住んでいるのですが、日系だけでも、ドンキホーテ(シンガポールではDon Don Donki)、MUJI、Daiso、ユニクロ、明治屋など大型小売店がいくつかあります。それぞれが複数店舗で展開しています。コロナ禍で観光客がほとんどいなくなった状況でも、ローカル顧客の需要を満たしているのです。そんな中で、このSCOOP Wholefoodsというお店がなぜこんなに人気になっているのかに関して考えてみたいと思います。

まず、このお店の名前についている“Wholefoods”(ホールフーズ)という言葉なのですが、これは、オーガニックフードとか自然食品とかの意味でも使われているのですが、「ありのまま」の食品で、加工をしていないものを指しています。英語の“whole”という単語は、「全体」という意味ですね。「健康な」という意味も含まれています。

このお店は2013年にそれまでマルタに住んでいた夫婦がオーストラリアのシドニーで始めたのですが、最初から、人間の身体のためによい食品ということだけでなく、地球環境にもよい消費ということを考えていたようです。人間という存在が、地球という大きなエコシステムの中の一部であるという考え方がこのブランドの根底にあります。

昨今、SDGsとか、ESG(Environment, Society, Governance)とか、地球環境に対する視点が重要になってきています。プラスチックをやめようとする動きとか、過剰包装や、食品ロスなどに対する注目が高まってきています。こういう動きは、世界的には、ヨーロッパが率先しているのですが、オーストラリアは、意識的にはヨーロッパと直結していると言ってよく、オーストラリアとはかなり関係の深いシンガポールには、こうした動きがすぐに入ってきます。



SCOOP Wholefoodsの人気が高まっているのは、こうした背景があるのだと思います。単に自分の健康にいい物を買うというだけでなく、その消費が地球環境を守ることに結びついていると思えることが重要になってきています。個人の消費は、地球環境全体に比べればあまりにも小さいので、消費と地球環境を結びつけて考えることを大半の人は最初から諦めてしまっています。しかし、たとえ目に見える形での影響はないにしても、こうした動きに賛同していくということが大切になってきているのです。



このお店のメインの商売は、食品素材の量り売りです。自分が必要な量の食材を購入することで、食品ロスを少なくしようということに貢献しています。さらに、余計な商品容器や梱包を不要にすることで、ゴミを減らし、地球環境に優しい消費を可能にしています。



メインは食品なのですが、実はこのお店は、食品だけでなく、雑貨や、台所用品、浴室用品などの品揃えも充実しています。それを眺めているだけで楽しくなるのですが、環境に優しい素材を使っているのはもちろんですが、デザインも素晴らしく、機能性もよいのです。食品以外のグッズ関係だけでも単独で店舗展開できそうな雰囲気です。ジュート素材(麻)のエコバッグなども実用的でありながら、エコを感じさせてかっこいいですね。





SCOOP Wholefoodsの英語のサイトに、“Convenience vs Sustainability”という文章が出ていました。



それによると、彼らの調査で、81%の消費者が環境問題の大切さを認識している、しかし、60.4%の人は、手軽に買えて、しかも値段が同じだったら環境問題に配慮した商品を検討してもよいと考えている。あくまでも値段が同じだったらという条件付きです。そして、14.6%の人は、価格や利便性に関係なく、環境に配慮した商品を選択すると回答したそうです。日本で同じ調査をしたら、この数ははるかに少ないのではないかと思います。

また、彼らが目指しているのは、環境問題だけに留まりません。“Ethical buying”という言葉が使われているのですが、直訳すれば「倫理的購買」ということになります。「フェアトレード」という概念は以前からありますが、調達先の労働状況なども含めての概念に、いい意味で拡大解釈しています。“Ethical buying”はほとんどの場合、価格は高くなってしまいます。それに対して消費者がお金を払ってくれるかどうかが問題ですが、消費者に伝えて、理解者の数を増やしていくことが重要だと述べています。

SCOOP Wholefoodsの場合、価格はできるだけ抑えたいと考えているようですが、値段を適正値段より下げることはフェアトレードを犠牲にすることに繋がるので、そこは慎重に判断したいということでした。

先日、ある勉強会で、「人権デューデリジェンス」ということについて学んだばかりですが、強制労働とか、人権に関わる調達を排除する動きが世界的なトレンドになっています。

こういうトレンドを簡単に図式化すると、こんな感じになるのかなと思います。



消費者が商品に対してお金を払うのは、従来は、機能やデザインに対してがほとんどでした。例えば、洋服でしたら、着心地がいいとかの機能、そして見た目、デザインのかっこよさ。そこに「ブランド」という要素が加わります。有名なブランドだったら、高い対価を払ってもよいと考えるようになりました。そして「意味」と、とりあえず書きましたが、それを買うことでどのような意味があるか、意義があるかという消費です。

商品やグッズのカッコよさは、デザインや機能や、ブランド名だけが作るのではなく、その会社の社会的な考え方も大きく影響しているのだなと思いました。環境への貢献とか、人権への配慮とか、企業の社会的な考え方に対してお金を払うという消費がこれからは増えてくるのだと、このSCOOP Wholefoodsというブランドのあり方を見て、思った次第です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

5月31日のシンガポールの首相の演説

2021-06-02 16:12:14 | シンガポール
5月31日(月)の4時にシンガポールのリー・シェンロン首相がスピーチを行いました。4月後半からシンガポール市内でのクラスターの発生に対応して、5月16日から6月13日までの4週間を警戒期間とし、飲食店の店内飲食の中止や、集まりは二人までとする規制を行っているのですが、残り2週間というちょうど中間地点でのタイミングでした。

約24分間の演説だったのですが、これをテレビで見ていて、感動してしまいました。個人的に感動した演説としては、フィクションの世界ですが、映画「インディペンデンス・デイ」の大統領の演説 と、ケネス・ブラナーのシェイクスピアの「ヘンリー五世」の演説 などがあるのですが、それらに近い感動を与えられた気がして、シンガポールの自宅でところどころで拍手をし、誰も見ていないのにスタンディング・オベーションをしてしまいました。(笑)

まずは、こちらが大統領演説の動画です。



演説の全文はこちらの政府のサイトに掲載されています。

PM Lee Hsien Loong on the COVID-19 'New Normal'
Transcript of speech by PM Lee Hsien Loong on the COVID-19 'N
www.pmo.gov.sg


何がそれほどよかったのか、それについて述べてみたいと思います。あくまで個人的な感想です。

1. 困難の先に待ち受ける明るい未来が提示されていたこと

まずは、これから先どのようになるか、この難局を乗り越えることで、どのような未来が待ち受けているかということが明確に示されていたということです。このような状況下では、人々は様々な理由で不安になってしまいます。影響を大きく受けている仕事も多いでしょうし、海外への渡航ができないことで困っている人も多くいます。日常生活も不便を強いられています。精神的にも追い込まれている人も多いでしょう。そんな人々にとって、首相のこの演説は希望をもたらしたと思います。

演説の終わりのほうのこの一説は印象的です。

In the new normal, COVID-19 will not dominate our lives. Our people will be mostly vaccinated, and possibly taking booster shots every year. We will get tested often, but it will be fast and easy. We will go to work or school, meet friends and family, participate in religious services, and enjoy entertainment and sports events. We will re-open our borders safely. Visitors will again come to Singapore. Singaporeans will travel again to countries where the disease is well under control, especially if we have been vaccinated. And eventually we will even go about without masks again, at least outdoors. Right now, we are some ways off from this happy state, but we are heading in the right direction.

日本語にしてみますとこんな感じになります。「ニューノーマルの時代においては、COVID-19が私たちの生活を支配することはなくなるでしょう。国民のほとんどがワクチン接種を終え、おそらくは毎年定期的に接種をすることになるかもしれません。職場や学校に行ったり、友達や家族に会ったり、宗教的な行事に参加したり、エンターテインメントイベントやスポーツイベントを楽しむことができるようになるでしょう。私たちは国境を安全に再開していきます。再びシンガポールへの訪問客が来るでしょう。シンガポール人も感染がコントロールされた国に渡航することが再びできるようになります。とくにワクチン接種を受けた場合なのですが。そして、やがて、少なくとも屋外に限っては、再びマスクをしないで外出できるというようなそんな時もやって来るでしょう。今現状では、こんなハッピーな状況からは少しばかり離れていますが、私たちは正しい方向に向かって着実に進んでいるのです」

こんな誰もが望んでいる未来図を言葉で描き出しています。検査と、追跡、ワクチン接種を促進することに国民が一致団結して協力してくれれば、このような未来もすぐそこに来ているというわけです。このように目的が明確化されることにより、国民一人一人のモチベーションも強化されます。

そして演説はさらに続きます。

In this new normal, the countries which are united, disciplined and put in place sensible safeguards, will be able to re-open their economies, re-connect to the rest of the world, grow and prosper. Singapore will be among these countries. More confident and resilient than before, and toughened by what we have overcome together, and experience together as one nation.

「このようなニューノーマルの時代には、一致団結し、規律が取れて、きちんとした安全対策を行っている国は、経済活動を再開し、世界の他の国と再び繋がり、成長繁栄することができるようになります。シンガポールはそのような国々の一員となるでしょう。私たちは、これまで共に力を合わせて困難を克服してきたことにより、また一つの国家として経験を共にしていることで、以前にも増して自信に満ち、持久力がある国となるでしょう」

言葉の一つ一つが希望を持たせます。未来に光が射した感じで、気持ちが明るくなります。そして、コロナを乗り越えてさらに成長したシンガポールの姿が実感できます。このためにはみんなで力を合わせて協力しようという気持ちが湧き上がってきますね。

2. 具体的で事実に基づいた現状認識

首相の演説の中で、感染状況の説明など具体的なデータが使われています。シンガポールで演説を聞いている人たちには説明する必要もないことですが、最近の状況を捕捉しておきます。こちらのグラフは、シンガポール保健省が発表しているものですが、5月4日から6月1日までのシンガポールの1日あたりの新規感染者です。緑の部分が、経路が確認できている人、黄色が未確認の人です。経路が確認されている人が大半ですが、何箇所かでクラスターが発生しています。



日本の感染者数に比べれば非常に少ないのですが、これまでほぼ市中感染を押さえ込んできたシンガポールにとって二桁の感染者数は大ごとです。数は徐々に減ってきてはいますが、まだまだ予断は許されません。

そしてこちらは、同じく保健省のデータですが、重症者の数。



オレンジ色がICUで治療を受けている人、青が酸素吸入が必要な患者数です。日本に比べればかなり少ないです。また死者数に関してですが、6月1日時点で、昨年頭からの累積の死亡者が33人。2021年になってからは4人です。

日本のマスコミは、欧米に比べて死者数が少ないということを自慢していますが、6月2日時点での累積死者数が1万3048人。最近でも一日の死者は数十人から100人を越えることもあります。医療先進国のはずの日本で、どうして死亡を防げないのか悲しくなります。そんな状況にありながら、時々「日本は死者がこんなに少ない」と発言する人がたまにいますが、とても不謹慎な気がするのは私だけでしょうか?

首相の演説の中で、検査方法の種類に感しても、かなりきめ細かく情報が提示されています。PCR検査以外にも、各種ある検査の説明があります。追跡方法や、ワクチン接種に関しても同様です。現状を極めて正確に把握しているという姿勢がここに現れています。

3. 積極的な各種対策

首相の演説では、ワクチン接種や、検査対応に関して新たな取り組みが示されています。たとえば、次のようなものです。



12歳から16歳への生徒に対してのワクチン接種を始める。6月1日から予約開始。学校での感染は心配ですからね。



39歳以下の接種予約は6月中旬から始める。



60歳以上でまだワクチン接種していない人に対しては、予約しなくても、ワクチンセンターに行けばその場でワクチンをしてくれる!これはすごい!日本は高齢者が予約できなくて困っているという状況なのですが、こういう対応は素晴らしいですね。

8月9日の独立記念日までにはシンガポール国民の大半が少なくとも一回の接種をしていることを目指す。

妊婦や、癌患者など、これまでワクチン接種から除外されていた人たちも受けられるようになる。

検査もどんどん増やしていくことを発表しています。

こんな感じで次々と具体策が発表されることは非常に好感が持てますね。

4.言葉の端々に示される国民への感謝の気持ち

これまでの協力に対しての感謝の言葉が述べられています。政府からの高圧的、一方的な命令となることを防いでいます。これにより、政府も、国民もワンチームであるという印象が作られています。偉そうな感じがないのがいいですね。この最後の項目に関しては、あまり説明することもありません。映像を見ていただければ、人柄が伝わってくると思います。



シンガポールはこういうリーダーの元で着実にコロナ禍から抜け出そうとしている感じです。日本も学ぶべきところは学び、日本もコロナを克服していってほしいですね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シンガポールのワクチン接種促進キャンペーン

2021-05-30 22:23:51 | シンガポール

コロナウィルスの収束に向けて、世界各地でワクチン接種が進行していますが、欧米に比べると日本はワクチン接種の進行がかなり遅くなってしまいました。私は現在シンガポールに住んでいるので、シンガポールのワクチン接種の状況に関してレポートしたいと思います。

シンガポールは、市中での感染がほぼ収束していたのですが、2021年4月中旬以降、感染者ほぼ連日出るようになりました。5月に入ってから病院や空港でのクラスターなどがあり、一日の新規感染者が5月13日に24人となり、二桁の日が多くなるのですが、5月16日に38人を記録、5月19日にも34人、21日には30人となりました。(この数字はシンガポールへの入国時の検査でわかる感染者の数字は含まれておりません)

これを受けて、2021年5月8日以降シンガポールに入国する場合のホテル隔離の期間が、それまでの2週間から3週間に延長されることになります。これはハイリスク・カントリーズの場合ですが、日本もハイリスク・カントリーズに入っています。私は2月末から3月頭に2週間のホテル隔離を経験しましたが、ホテルの部屋から一歩も出られず、かなり厳しいものでした。

シンガポールへの入国は、国民と、永住権保持者、長期ビザ保有者のみに認められていたのですが、5月11日以降にハイリスク・カントリーズからの入国許可が停止になり、すでに許可を得ている長期ビザ保有者の入国許可も白紙になってしまいました。

さらに、規制が強化され、5月16日以降、飲食店はすべて持ち帰りとデリバリーのみとなり、集まりも最大2名までとなりました。その他いろいろと規制がありますが、この措置は6月13日までとされています。

さて、ワクチン接種のほうは、ファイザーとモデルナの二種類のワクチンが認可されていますが、2月下旬から70才以上の接種が始まり、3月初旬に60才以上、3月24日から45才以上、5月19日から40才以上の接種が始まっています。

日経新聞の2021年5月28日時点で、シンガポールの人口百人あたりの累計接種回数は65.4回。UAE、イスラエル、英国、チリ、米国に次ぐ上位国になっています。



人口百人あたりの接種完了人数は、シンガポールは28.34人。順位は、イスラエル、チリ、米国、UAE、英国の次の人数です。人口の3割くらいが接種を完了しているという感じです。



シンガポールは東京23区と同じくらいの面積の国土なのですが、40箇所くらいのワクチンセンターがあり、ワクチン接種は着々と進んでいます。

ちなみに私は、4月5日に第一回目のワクチンを接種、26日に2回目接種をしました。2月末にシンガポールに戻ってくる前までは、ワクチンに関してはそれほど積極的ではなかったのですが、シンガポールに戻った後は、ワクチン接種に関するためらいは全くなくなっていました。

日本では、ワクチンの副作用の危険性とかがクローズアップされたり、陰謀論のようなものもネットに出ていたり、ネガティブな情報が多すぎる気がします。ワクチン接種後に死亡したケースが出た場合の報道も、死因がワクチンが原因と特定できない場合でも、「ワクチン接種との関連性は不明」と報道されます。「不明」と言われた場合、ネガティブな思考回路になっている場合は、ワクチン接種は心配だと勝手に思ってしまいます。

ワクチン接種が原因でなくても、ワクチン接種後に死亡するケースはありえます。特に高齢者の場合、脳卒中や、心臓発作で亡くなるのは通常ありえることで、それがワクチン接種後にたまたま生じることもありえます。

シンガポールの場合、ワクチン接種後に死亡があった場合、MOH(保健省)は、ワクチンとの関連性を検証し、「死因はワクチンとは関係がない」ということを常に発表して、いたずらに不安を煽らないようにしています。

たとえばこちらのニュース記事がその一例です。



「57才の男性が3月5日のコロナワクチンの1回目の接種の翌日に心臓発作で死亡。5月24日の月曜日、これはワクチン接種とは関連性が無かったということを発表」という報道です。時間がだいぶたってからの発表でしたが、おそらくいろいろな憶測が広まっていたのでしょう。シンガポールの保健省は、ワクチン後の死亡に関しては、かなりきめ細かくその死因と、ワクチンとの関連性はないということをその都度告知しています。

そして、最近のワクチン接種促進のための告知キャンペーンがこちらの#iGodMyShotというもの。ワクチン接種を完了した高齢者たちの元気な姿を紹介し、ワクチン接種をアピールしています。



このキャンペーンロゴのVサインは、Vaccination(ワクチン接種)の頭文字のVなのですが、ワクチン2回接種完了も意味しているのだと思います。またコロナとの戦いの勝利のVictoryのVも意味しています。





こちらは、プロモーション動画。



登場しているのは、シンガポールでは誰もが知っているコメディ・ドラマ「プア・チュー・カン」の主人公プア・チュー・カンことガーミット・シン(Gurmit Singh)とその妻Rosieことアイリーン・アン(Irene Ang)の二人。お馴染みのシングリッシュで、ミュージックビデオ風に、ワクチン接種を早く受けようとアピールしています。



このドラマはPCKと省略して呼ばれることもありますが、1997年から始まり、大人気となったドタバタコメディです。黄色の長靴とカーリーヘアーがシンボルのガーミット・シンが使うコテコテのシングリッシュが評判でした。”Don’t Play Play!”という台詞なども流行語になりましたね。



ガーミット・シンは、昨年も政府の公式チャンネルで、コロナ対策啓蒙のビデオにも登場して、手洗い、マスク着用、ステイホームなどをアピールしていました。こちらがその動画です。



コロナという重いテーマを、明るくポジティブに取り扱っています。しかし、20年以上経っていても彼の人気は衰えていないというのがすごいですね。芸能人の少ないシンガポールでは、コメディアンも歌手も息が長いです。

こんな形で、シンガポールのコロナ対策は、着実に進んでいます。こういう国から日本のコロナ対策を眺めていると、もどかしさを感じるのですが早くワクチン接種が進むとよいですね。そして早くコロナを克服できるとよいですね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シンガポールのこの一年、人々の心を支えてきた4つの曲

2021-04-09 23:07:28 | シンガポール
シンガポールでサーキット・ブレーカーと呼ばれる規制が始まったのが2020年4月7日。その日以降、しばらくの間、必要不可欠な業種以外は、在宅勤務のみとなり、学校は在宅指導、飲食店は持ち帰りまたは配達のみの営業となりました。バーや映画館、劇場、ナイトクラブ、カラオケなどは3月26日から閉鎖されており、学習塾や、宗教行事も中止となりました。

あれから一年。一時は外国人労働者が居住する寮でのクラスターが拡大しましたが、市内での感染は見事に押さえられ、基本的には市中には感染者がいないので、社会生活は安心して営まれています。現在でも、マスク着用や、ソーシャル・ディスタンス等は厳しく実施されていて、海外からの入国は厳しく制限されていますが、ワクチン接種も着々と進行していて、感染はきちんとコントロールされているのを実感します。

この一年、シンガポールの人々の心の不安を支えてきた音楽がいくつかあります。それをご紹介したいと思います。

12歳の小学生が作詞作曲した”Unite as One”



Jacob Neo (ジェイコブ・ネオ)という12歳の小学生(当時)が作詞・作曲した “Unite as One”(ユナイト・アズ・ワン)という曲があります。日本語に訳すと、「ともに力を合わせよう」という感じです。「ワンチーム」に近いニュアンスですね。

Fairfield Methodist (フェアフィールド・メソジスト)という小学校の6年生だったジェイコブ君は、前年参加したプログラムで曲の作り方を学んだばかり。新型コロナウィルスで頑張る医療関係者に対して、エールとなる曲を作りたいと思ったのです。

完成したこの曲は、2020年2月27日に、シンガポールのナショナル・ユニバーシティー・ホスピタル (NUH)の医療関係者に贈呈されました。また、その際に、クラスメート全員が、感謝のメッセージをカードに書いて、それも合わせて贈られたとのこと。病院のスタッフが感動したのはもちろんです。



この曲が、学校の先生たちの協力のもとミュージック・ビデオとなり、ユーチューブでも話題になりました。こちらがそれです。



この歌詞の翻訳をつけておきます。

You’re shut away, you’re isolated
あなた方は、閉じ込められ、隔離され、
Cut off from civilization
文明と切り離され、
All alone with your hopes and dreams
一人だけで、夢と希望だけを糧に
Shuttered, no longer free
遮断され、もはや自由はない
But I want you to know that
でも、皆さんに知っておいて欲しい
You’re not alone
皆さんは決して独りぼっちじゃない
And I want you to feel that
そして、皆さんに感じて欲しい
You are at home
皆さんは家にいるのだと

And the night looms, the sun goes down
そして夜が忍び寄り、陽は落ちる
Day bleeds and light’s just a memory, memory
陽は赤く滲み 光はただ記憶となる、記憶となる
The ‘crowns’ are invading us what can we do
コロナが我々を侵略してくる 僕らに何ができるだろう
This is agony, Yeah!
それは苦しみでしかない
But we’ll be together through thick and the thin
でも、どんな時も僕らは一緒だ
As one country we fight this virus and win
一つの国として、僕らはこのウィルスと戦い勝利するんだ
We’ll fight with our hearts and our minds and our souls
心で、精神で、魂で戦うんだ
Protecting this island where we call our home
僕らが「ホーム」と呼ぶこの島を守るんだ

Fearful yet advancing
怖いけれど、一歩前に踏み出した
Fulfilling your duty and call
そして自分の責任と使命を果たそうとしている
Knowing that there is a purpose
そこには大きな目的があると知っていて
Press on. Stand firm for all.
自ら進んで、みんなのために決意を固めている

Singapore. We’ll stay together
シンガポール、僕らは共に存在している
Singapore. The time has come
シンガポール、時は来た
Singapore. We’ll fight forever
シンガポール、永遠に戦う
Singapore. Unite as one
シンガポール、一つになろう


この曲は、もともとコロナとの戦いにおいて最前線で戦っている医療従事者に捧げられたものでした。しかし今の視点で見てみると、シンガポールに入国するために2週間ホテルに隔離になっている人たちなどのことも含まれるような気がします。当時12歳の少年や彼のクラスメートたちが歌ったこの歌は、隔離中の人々をも勇気づけているのだと思います。

私自身も2月末から2週間の隔離を経験したのですが、隔離することで、自分たちもシンガポールという国を守るために戦っているのだと思う瞬間がありました。部屋の中でじっとしているのは精神的に辛いのですが、みんなで協力して頑張っている、そんな気持ちがしました。

ちなみに、この歌詞の中に、’crowns’ are invading usという一節がありますが、ラテン語の「コロナ」というのは元々は、王冠という意味です。太陽のコロナは、王冠のように見えるのでそう呼ばれているのですが。コロナウィルスは、顕微鏡で見ると太陽のコロナのように見えるので、コロナウィルスと呼ばれるようになったのだそうです。

2020年4月25日夜空に響いた“Home”の大合唱



2020年4月25日の夜、7時55分から、シンガポールではおなじみの”Home”という曲をみんなで自宅の窓から歌おうというイベントがありました。医療従事者や生活に必要不可欠の業務に携わる人々、外国人労働者の皆さん、そして在宅でステイ・ホームする全ての人々への感謝のための合唱で、シンガポールのメディアが全面協力するイベントでした。



シンガポールの独立記念日のナショナル・デーのテーマ曲の一つで、1998年にテーマソングとなった曲です。最初に歌ったのは、女性歌手のキット・チャン(Kit Chan)。その後、何度かナショナル・デーで歌われるのですが、2011年に39人の歌手がフルオーケストラで歌うという企画があり、このビデオの演出はキット・チャンでした。こちらのビデオの最初に歌うのは、ディック・リー、2番目に登場するのがキット・チャンです。他にシンガポールの歌手が次々と登場します。



いろんなバージョンがあるのですが、こちらは、26人の最近の若手ミュージシャンたちが歌うバージョン。



歌詞とその翻訳をこちらに記載しておきました。

Whenever I am feeling low
気分が落ち込んだ時はいつも
I look around me and I know
周りを見渡すと、私はわかる
There's a place that will stay within me
心の中にずっと残っている一つの場所があると
Wherever I may choose to go
自分の選んだ行き先がどこであろうとも

I will always recall the city
いつも思い出すのはその都市のこと
Know every street and shore
通りや岸辺は知り尽くしている
Sail down the river which brings us life
船で下る河は私たちの活気の源
Winding through my Singapore
私のシンガポールを曲がりくねって流れている
This is home truly
ここは本当に故郷
Where I know I must be
私のいるべき場所はここだと知っている
Where my dreams wait for me
私の夢が私を待っている場所
Where that river always flows
河がいつも流れ続けている場所

This is home surely
ここは確実に故郷
As my senses tell me
自分の直感でわかる
This is where I won't be alone
ここにいると私は決して一人ではない
For this is where I know it's home
ここが故郷だとわかっている場所なのだから

When there are troubles to go through
何とかしないといけない問題がある時
We'll find a way to start anew
再始動する方法が見つかるもの
There is comfort in the knowledge
こんなことを思うと安心できる
That home's about its people too
故郷とはすなわち人々のことでもあると

So we'll build our dreams together
だから夢を一緒に作ろう
Just like we've done before
昔やってたみたいに
Just like the river which brings us life
私たちに生命を与えてくれる河のように
There'll always be Singapore
シンガポールはいつもここにある

For this is where I know it's home
ここが故郷だとわかっている場所なのだから
For this is where I know I'm home...
自分が故郷にいることを自覚できる場所なのだから


Homeという言葉を「故郷」と訳しましたが、本当は、「家」という意味、「住んでいる場所」という意味など色々な意味が込められています。また新型コロナと戦うためのStay Homeの物理的な家という意味ももちろんあります。


シンガポールの国歌

シンガポール人は誰でも知っている国歌は、マレー語です。この動画もサーキットブレーカー中にアップされていました。通常は誇らしげに、高らかに歌われるのですが、この動画では、しんみりと、スローに、これまでの長い静寂の期間を回顧するような雰囲気で歌われています。そして映像は、飛行機や、建物や、室内などに、プロジェクションで投影された写真が映し出されます。新型コロナでストップした時間です。そして、「時は変われど、我々の国民のスピリットは不変」というメッセージが現れます。最後に、首相の言葉が文字で登場します。「怖がらないでください。心を失わないでください。シンガポールの前進の歩みは決して揺るぎません」



感動的ですね。

2020年8月9日のナショナルデーソング



2020年のナショナルデーのテーマソングは、”Everythig I Am”という曲で、Joshua Wanが作詞・作曲し、ネイザン・ハルトノ(Nathan Hartono)という歌手が歌いました。サーキット・ブレーカーの期間のステイホーム、リモートワークの雰囲気に溢れています。曲調はスローで、パンデミックの中での思いやりや、絆を強調しています。



この1年間、いろいろと苦しい思い出もあるのですが、それを克服して、未来に向かって歩みつつあるシンガポールという国。みんなで頑張ってきたんだなという思いがあらためてします。

シンガポールを去らなければならなかった人、シンガポールに新たに来ることになった人、シンガポールに留まり続けた人、シンガポールに旅行や出張で来たくてもそれが叶わなかった人、それぞれが、いろいろな思いで、これらの曲を聴いていただけたかと思います。

シンガポールがこの一年、苦難を乗り越えてきた中で、これらの曲が人々の心を支え、応援してきたのだということを記録に残しておきたくて、これを書きました。最後まで読んでいただきありがとうございました。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コロナ禍にシンガポールに渡航し、2週間のホテル隔離を体験する

2021-02-28 18:20:00 | シンガポール

2月21日、東京からシンガポールに到着し、ホテルでの2週間の隔離中です。すでに、7日が経過しました。ちょうど中間地点です。人生の中でなかなか経験できることではないので、早めにレポートしたいと思っていたのですが、仕事が重なって、時間がありませんでした。各種案件が金曜までで、とりあえず一段落したので、忘れないうちに書いておきたいと思います。

シンガポール入国に向けての準備

シンガポール入国にあたっては、居住者、PR(パーマネント・レジデンス)、ワークパス (EP)、Sパス、ワークパーミットなどIDやビザの種類によって、またどこの国からの渡航かによって手続きや条件が異なります。

日本とシンガポールの間には、一時はビジネストラックというのがあり、出張での行き来が可能だったのですが、現在は停止されています。1月17日更新の在シンガポール日本大使館のサイトには、「現在、シンガポールの長期滞在パス(労働パス及び帯同者パス(EP,S Pass,DP等)を含む)を持っている方以外、日本からシンガポールへの入国はできません」と書かれています。

私の場合は、ビザは、EntrePassなのですが、ワークパスとして扱われています。妻は、DP(Dependent Pass)が承認されていますが、まだカードはなく、IPA (In-Principle Approval) レターをオンラインで受け取っています。シンガポールのIDナンバーであるFINナンバーはこのIPAレターに記載されていますし、バーコードもついています。IPAレターの場合は、これを出力しておく必要があります。入国審査の時に、これを求められるからです。

MOM(人材開発省)のサイトでシンガポール入国の申請を行う

まず、この申請をクリアーしないと、シンガポールへの渡航はできません。30日前から可能になりますので、ずっと先の予約をすることはできません。オンラインのフォームにシンガポールへの入国希望日などの入力を行い、申請をします。すべてオンラインで行います。基本的に昼までに申請をすれば、その日のうちに結果がメールで送られくるということでした。なかなか届かなかったので心配したのですが、深夜の2時頃、メールが届きました。入国許可のタイトルがついていたのでほっとしました。

その日の渡航者の枠があったり、ビザの残存期間が少なかったりすると却下されることもあります。

このメールには、渡航希望日の前後一日づつの3日間のうちに渡航を許可するということが書いてありあました。また、このメールは飛行機の搭乗の際に、そしてシンガポール入国の際に必要になるので、出力をしておく必要があります。

飛行機の予約は、この許可を得てから行わないといけないのですが、もし万が一飛行機が満席とかだと困るので、あらかじめ申請前に空席状況を調べておいて、予約が取れそうだということを確認しておかれるのがよろしいかと思います。

出発72時間前のPCRテストと英文の陰性証明の書類

入国許可のメールにも書かれているのですが、飛行機が出発する72時間前以降に受けたPCRテストの陰性証明書(英文)が必要になります。私たちは、2月21日の11時5分の羽田発の飛行機を予約していたので、2月18日の午後にPCR検査を受けることにしました。

いろいろとネットを調べて、虎ノ門のチームメディカルクリニックというのが安くて良さそうだということで、ここをオンラインで予約しました。PCR検査が9900円、英文の陰性証明書は5500円です。午後に検査をしたのですが、その日のうちに(約5時間後)結果が送られてきました。陰性証明書は、翌日の朝からできていて、ピックアップすることができました。土日祝祭日は休みなので、注意が必要です。こちらがチームメディカルクリニックのサイトです。
https://www.team-medical.or.jp/departments/pcr/

出発3日前以降にシンガポールのICAに入国申請

ICAとは、入国管理局のような組織で、Immigration & Checkpoints Authorityの略です。ここで入国の日付と、シンガポールの連絡先、14日以内に滞在した国名や健康状況とかを申請します。

IPAレターのみの妻の場合は、もう少し入力情報が多いのですが、これがアライバルカードの役割を果たします。ICAに申請するとすぐに確認証が出るので、これも出力しておく必要があります。

以上、3点が絶対に必要な書類なのですが、それ以外に、もしコロナ感染で入院した場合などに備えて医療費をカバーするだけの保険に入っていることとも必要です。これはチェックされることもありませんが。

あとシンガポールの空港到着時に、PCR検査があって、一人160ドルかかるのですが、これは事前にオンラインで支払いを済ませておくと時間の節約になります。私たちはこれをしていなかったので、空港到着時に、PCR検査の前に支払い手続きをしなければなりませんでした。

飛行機の搭乗

飛行機の搭乗に際しては、チェックインカウンターで、体温を計測され、準備のところでご紹介した3点の書類の提示、そしてパスポートとともに、シンガポールのIDカードの提示(妻の場合はIPAレターの出力)を求められました。

空港は人がかなり少なく、お店とかもほとんど閉まっているので、買い物とかある方は、事前に済ませておかれるとよろしいかと思います。

飛行機は、幸いに乗客はパラパラとしかおらず、私たちの周辺の前後左右は空席でした。機内の空調はコンスタントに機内の空気を入れ替えているというので安心しました。食事の時以外はマスク着用が原則です。

シンガポール到着

飛行機は午後5時20分頃にシンガポールに着陸しました。あまり遅い時間に到着すると、ホテルに入るまでに時間がかかるので、明るいうちに到着する飛行機にしました。



通常の到着と同じように、アライバルホールへのエスカレーターを降りていくと、何人かの係員が待ち構えています。そこで書類の不備がないか確認し、入国審査のカウンターに向かいます。

IDカードを持っている人は、通常は自動ゲートなのですが、コロナ禍の今は、全員が係員のチェックを受けます。私はスムーズに通過するかと思っていたら、別の窓口に移動させられました。おそらく指紋が認識できなかったようなのですが、何度かやり直して通過することができました。ここでステッカーを胸につけられます。私の場合は黄色でした。

ここで隔離ホテルが決まってしまったのかと不安になったのですが、かなりの人が同じ色のステッカーでした。同じ時間帯には、他の国から到着した便の人もいましたが、ステッカーの色はそんなに種類はありませんでした。

荷物をピックアップして、空港でのPCR検査の方向に進みます。ここで事前にPCR検査費用を支払ってれば楽だったのですが、まずその支払い手続きをします。数時間後に結果が連絡されるのでそのメールの登録などもします。



そしてPCR検査です。いくつかのブースがあり、防護服を来た係員が対応をしています。順番が来ると、ブース内の椅子に座り、まずは喉に長い綿棒のようなものを入れられます。その後、鼻です。一瞬で終わるのですが、妻は喉のどこかに綿棒が触れたらしく、ゴホゴホとしていて、係員に心配されていました。

PCR検査が終わると、さらに別のステッカーを貼られ、椅子で待機するように言われます。どこのホテルに連れていかれるのか全くわからないので、不安になります。

同じ飛行機で来た幼児連れの親子4人が近くにいたので、彼らと一緒だったら小さなホテルになることはないだろうと思ったりしました。

やがて、係員が来て、10人くらいに出発を告げます。我々は荷物を持って、外に待機しているバスに乗ります。最初にバスに乗ったので必然的に最後列になりました。バスに乗ったのは、10人くらいでした。



行先はすでに決まっているはずなのですが、ミステリーツアーです。バスは、夕暮れのECP (イーストコーストパークウェイ) をシティー方面に進みます。ブーゲンビリアの花が咲き、右側にはヤシの木越しに海が見えている景色なのですが、どこに向かっているのか心配でした。

ハイウエイの先に、サンテックの建物が見えてきて、バスは左側の車線を取り、ブギスでハイウェイを降ります。ノースブリッジロードや、ビクトリアロードを左に曲がらなかったので、スイソテルや、リッツカールトン、フェアモント、インターコンチネンタル、マリオットなどの可能性は無くなりました。

バスはシムリムスクエアの手前を左に曲がり、やがてオーチャードブールバードに。バスはスコッツロードを右に曲がらなかったので、グランドハイアットなどの可能性も絶たれます。通常リージェントホテルやシャングリラに行く場合は、トムリンソンロードを右に曲がるのですが、そこを直進したので、残された可能性はJEN Singaporeかと思ったのですが、名もなき道を右に曲がった先でバスが停車したのは、何とリージェントホテルだったのです。

リージェントは、泊まったことはないのですが、毎年行われる日本商工会議所の新年会のイベントで何度も来たことがあり、アジアトップ50バーのナンバー1に輝いたこともあるバーのManhattanもあります。Basilicoというイタリアン、Summer Palaceという高級中華、天ぷらの天信なども入っています。ロビーの雰囲気もすばらしく、こんな豪華なホテルに泊まれるのかとワクワクしてきました。

すでに数台のバスがホテル脇に停まっていました。我々が乗ったバスと同じような感じで、それぞれ10人前後が乗っています。この日の夕方到着した少なくとも50人くらいが同じホテルに割り当てられていたと思われます。

バスから降りた乗客は、正面玄関とは別の方角に向かい、ホテルの小宴会場のようなスペースに誘導されていきます。椅子が10数個並べられていて、書類が置かれていました。その書類を書いて、係員に出さなければならないようです。

その書類は、すべて英語で、名前や連絡先、IDナンバーなどのホテルチェックインの書類と、食事に問題があった場合の免責の書類、そして滞在中の食事のメニューの選択でした。食事をすべて選択しないといけないのかと思ったら、やはりそうでした。到着した当日と、翌日は選択できないのですが、それ以降のランチ、ディナーはそれぞれ二種類の中から選ばないといけないのです。二種類のうち一つはベジタリアンになっており、イタリアン、中華などのメニューが並んでいるのですが、あまり詳しく検討している余裕がないので、適当にチェックしました。何を注文したのか覚えていられないので、写真を撮っておけばよかったと後になって思いました。

鍵をもらう際に、窓が開く部屋か、バルコニーはないかなど確認してみたのですが、残念ながら窓は開かないし、バルコニーもない部屋でした。ツインベッドの部屋にはしてもらいました。

部屋に入れたのは午後9時過ぎ。思ったより広い部屋で安心しました。部屋はこんな感じでした。





食事が届けられたのは10時過ぎでした。食事を食べられたのは11時頃、シンガポール到着から5、6時間経ってからのことでした。届けられた弁当は、チャーハンのようなナシゴレンのようなご飯でしたが、お腹が空いていたこともあり、とても美味しかったです。



同じ頃、空港でのPCR検査の結果がメールで届き、”Not Detected” (陰性)という文字にほっとしました。

かくして、2週間のシンガポールのホテルでの隔離生活が始まったのでした。

シンガポールでの隔離用ホテルでの生活




シンガポールのホテルでの隔離生活はどんなものか実感としてわからないので、来る前はとても心配でした。どのホテルになるのかで条件や、食事も違うようですし、部屋から一歩も外に出られないというのがどんな状況なのかがとても不安でした。

私たちは最悪の事態に備えて、スーツケースの他に、段ボール3箱に非常食とか、日用品(隔離開け後に家で必要になる物も含む)を持ち込んでいたのですが、ここのホテルでは、食事はとても満足のいくものだし、外から注文もできるので、それほど必要のない物がいくつもありました。

1週間が経過して、このホテルでの隔離生活はとても快適です。6階の部屋なのですが、景色は素晴らしいし、食事は美味しいし、ホテルの対応は素晴らしいし、部屋は清潔で非常に満足しています。

それではホテルでの隔離生活に関してもう少し詳細を書いておきたいと思います。

食事

食事は3食きちっと部屋のドアの外の椅子の上に届けられます。届くと、ドアベルで知らせてくれます。



朝食は、毎朝、ほぼ同じメニューで、選択はできません。パン(小さなクロワッサンやデニッシュ)、ジュース(オレンジジュース、マンゴジュース、アップルジュースなど)、フルーツ(りんご、アプリコット、洋ナシ、バナナなど)、ヨーグルト(マンゴ、アップル、アロエヴェラ、ストロベリーなど)がいつものメニューです。ジュースや、フルーツや、ヨーグルトのフレーバーを日替わりでちょっとづつ変えてくれるのが嬉しいです。飽きるかと思ったのですが、全然飽きないですし、量もこれくらいで十分です。バターやジャムも付いてくるのですが、使わないのでジプロックに入れて冷蔵庫に貯めています。



昼食と夕食は、到着翌日は選択できないのですが、それ以降は到着時に選択したメニューに従って届けられます。ホテルによっては、冷めてしまっているとか、美味しくないとかの不満もあるようなのですが、このホテルの食事は、暖かく、とても美味しいので非常に満足しています。





イタリアン、中華、チキンライスやチャークィエイティヤオなどのローカル料理はどれも素晴らしい味です。

このホテルは、Basilicoという有名なイタリア料理のレストランがあるのですが、イタリアンはこのホテルで作っているのではないかと思われますが、とても美味しくて感動的です。ペンネやラビオリは美味で、オリーブやパプリカ、野菜などが食材として使われているのが嬉しいです。

またチキンライスも、ローストのチキンで、すごく美味しく、シンガポールに来たんだという感動さえ感じました。

夕食には必ずスープが付いてくるのも嬉しいです。マッシュルーム、ブロッコリー、パンプキンなどいろいろと変化をつけてくれて、野菜の摂取を助けてくれます。肉を使わないメニューもありますが、野菜がたっぷり使われていて、バランスは非常によいと思います。また味付けも、味が強すぎず、適度な味付けです。

魚や、チキンや、ビーフを使ったメニューはありますが、これまでにポークを使ったものはありませんでした。イスラムや、ヒンドゥーなど様々な宗教に配慮したものだと思われます。さすがシンガポールです。



あと、食事の容器にプラスチックを使っていないというのも素晴らしいです。他のホテルでは、容器やカトラリーがプラスチックだったりするところも多いのですが、このホテルではすべて紙か木です。

ホテルのアメニティー

ホテルには、湯沸かしポット、コーヒー、紅茶、シャンプー、コンディショナー、シャワージェル、歯ブラシ、ドライヤー、アイロン、アイロン台などが付いています。コーヒー、紅茶、トイレットペーパーなどはオペレーターに電話をすれば補充してくれますし、タオルなども届けてくれます。掃除機も頼めば貸してくれました。

シャンプー、コンディショナー、シャワージェルなどはロクシタンのもので、妻も喜んでいました。

歯ブラシ、歯磨き粉、洗濯用の洗剤、洗濯物を干すためのハンガー、掃除するための除菌ティッシュなどは日本から持ってきていました。コーヒーやお茶なども持ってきていました。

MOM(人材開発省)からの電話チェック

専用施設での隔離を管轄しているMOM(人材開発省)の担当者から、ランダムに電話がかかってきます。シンガポールの電話番号の携帯を持っていることが必須なのですが、いつ電話がかかってくるのかはわかりません。この1週間で、私も妻もそれぞれ3、4回電話を受けました。聞かれるのは、だいたい次のことです。
1) 名前の確認
2) ビザの種類の確認
3) FINナンバーの最後の4桁(最後のアルファベットを含めての4文字)
4) 宿泊しているホテルの名前
5) 部屋番号
6) 一人でいるのか他に誰かいるのか
7) 健康状況の確認
昨日も電話を受けましたが、次の土曜日にPCR検査があり、その時間、場所はメールで案内が送られてくるので、それに従うようにとの連絡もありました。また、1日3回、検温をし、FWMOM/CAREのアプリで報告するようにとの確認を伝えてくることもありました。

電話をかけてくるのは、毎回違う担当者で、情報は共有されていない感じです。毎回同じことを聞かれます。人によりますが、聞き取りにくいシングリッシュで早口で喋らたりすると、慣れていないと大変ですが、聞かれることがあらかじめわかっていると安心ですね。

FWMOM/CAREアプリでの体温報告

隔離中にはFWMOM/CAREというアプリをダウンロードすることが義務付けられています。入国時にはとくにこれについて確認されることはありませんが、ホテルでの隔離生活が始まると、1日3回(朝、昼、晩)検温して、報告をする必要があります。

最初は2回でよいのかと思いこんでいたのですが、MOMからの電話で3回と念をおされたので、そのようにしています。検温のための体温計は必需品です。

アプリのダウンロードはホテルに入ってからでも大丈夫ですが、私たちは、日本にいる間にダウンロードは済ませておきました。ホテルの住所とか、部屋番号などを入れないといけないので、最終登録はホテルに入ってからしかできませんが。



報告画面はこんな感じです。一番上のTemperatureのところに体温を入力します。その下の、CoughとかはすべてNoで大丈夫です。下二つのOxygen Saturation (SpO2)とHeart Rate (BPM) は空欄のままで大丈夫です。Submitの青いボタンを押すと、すぐにAlertという文字と、"Submitted successfully"という表示が現れます。一回の作業はこれで終わりです。

MOMへの隔離費用の支払い

隔離4日目あたりに、MOMから隔離費用支払いのメールが届きます。これは個人というよりも、ビザ発給の責任者である会社に来るものと思われますので、すべての人に関係することではないかもしれません。私は自分の会社の管理者にもなっているので、これの支払い義務もあります。

事前の情報で、一人あたりの2週間のホテル隔離費用は2000シンガポールドルということでしたが、一つの部屋を妻とシェアしたので、請求金額は、一人あたり1300シンガポールドル、プラス隔離終了前のPCR検査費用125ドルで、合計金額は1425シンガポールドル、支払いは3月2日までに行うべしというということで、即座にカードで支払いました。

デリバリーの注文

足りないものはデリバリーを注文することが可能です。また食事も、GrabFoodや、Food Panda、Deliverooなどでオーダーすることも可能です。ホテルのルームサービスで注文することも可能です。

私たちは水とお菓子などをPandamartで注文しました。注文してから20〜30分で届けてくれるのでとても便利です。

このホテルでは、ネスプレッソのマシーンを2週間45ドルで貸してくれるそうです。

ということで、2週間の隔離の折り返し点に来ました。この投稿が皆様のお役に立てば幸いです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする