松下竜一『豆腐屋の手記』
30歳の貧乏な豆腐屋の青年が綴る四季の手記。
松下竜一は、この「ザ・草の根」という感じの生活記が
ヒットしてドラマ化にも至り(主演は緒形拳!)、
遅まきながら文筆家としての生活に踏み出すのだけれど。
手記を書いた当時は、
朝日歌壇に「豆腐屋の生活」を詠んだ句が載る程度で
まったくの地方在住素人文筆家(というか豆腐屋である)。
出版の目処もなく、「書きたいな」「書いてみようかな」
という思いだけで書き綴った文章。
幼妻も当然のように「節約してお金を貯めないとね」と言うし
初版は案の定自費出版。
そんな素朴な状態で書かれた素朴な内容の手記なのだけど。
四季の移ろいとともに、
九州の小さな街の小さな豆腐屋の日々が窺える。
雪溶けの泥道や夜明けの寒さや河原の草いきれを
しみじみ感じる。
その合間に、
自分の家族のこと(姉と弟5人!弟もれなくグレる)、
若くして亡くなった母のこと(進学を断念し豆腐屋を継ぐ)、
豆腐屋稼業の日々のこと(失敗作を泣いてぶん投げたり泥道ですっ転んだり忙しい)、
病弱な自身のこと(43キロ!私より遥かに軽いね…!)
妻との恋愛(11歳年下!)のこと。
貧しく平凡な日々を綴ると本人も言っているけれど、
なかなかヘビー且つ厳しい環境で、
よく泣くし「畜生」とか言ってるし不幸も感じているんだけど。。
それでも歯を食いしばって誠実に生きている。
自分の人生と自分の家族を愛そうと前を向いて生きている。
そしてしょっちゅう「おろおろ」している。
なんだこのいじらしい手記…。
個人的には、武田百合子の『富士日記』みたいな
気風の良さを感じる生活記が好きなのだけど。
『豆腐屋の手記』は、なんだろうか、
応援せずにはいられない愛しさみたいなのがあるな。
ちなみに松下竜一さん、私の父より数年年上、
ほぼ同年代なのだけど
こんなに「愛したい」「愛してる」と
感情の赴くままに綴るものなんだな…
30歳の貧乏な豆腐屋の青年が綴る四季の手記。
松下竜一は、この「ザ・草の根」という感じの生活記が
ヒットしてドラマ化にも至り(主演は緒形拳!)、
遅まきながら文筆家としての生活に踏み出すのだけれど。
手記を書いた当時は、
朝日歌壇に「豆腐屋の生活」を詠んだ句が載る程度で
まったくの地方在住素人文筆家(というか豆腐屋である)。
出版の目処もなく、「書きたいな」「書いてみようかな」
という思いだけで書き綴った文章。
幼妻も当然のように「節約してお金を貯めないとね」と言うし
初版は案の定自費出版。
そんな素朴な状態で書かれた素朴な内容の手記なのだけど。
四季の移ろいとともに、
九州の小さな街の小さな豆腐屋の日々が窺える。
雪溶けの泥道や夜明けの寒さや河原の草いきれを
しみじみ感じる。
その合間に、
自分の家族のこと(姉と弟5人!弟もれなくグレる)、
若くして亡くなった母のこと(進学を断念し豆腐屋を継ぐ)、
豆腐屋稼業の日々のこと(失敗作を泣いてぶん投げたり泥道ですっ転んだり忙しい)、
病弱な自身のこと(43キロ!私より遥かに軽いね…!)
妻との恋愛(11歳年下!)のこと。
貧しく平凡な日々を綴ると本人も言っているけれど、
なかなかヘビー且つ厳しい環境で、
よく泣くし「畜生」とか言ってるし不幸も感じているんだけど。。
それでも歯を食いしばって誠実に生きている。
自分の人生と自分の家族を愛そうと前を向いて生きている。
そしてしょっちゅう「おろおろ」している。
なんだこのいじらしい手記…。
個人的には、武田百合子の『富士日記』みたいな
気風の良さを感じる生活記が好きなのだけど。
『豆腐屋の手記』は、なんだろうか、
応援せずにはいられない愛しさみたいなのがあるな。
ちなみに松下竜一さん、私の父より数年年上、
ほぼ同年代なのだけど
こんなに「愛したい」「愛してる」と
感情の赴くままに綴るものなんだな…