上海双龍ラグビー倶楽部

上海にてラグビーを愛する者達の活動報告です。

(Vol.258) アイスブレーカーカップ@北京,2009[②]

2009-03-19 08:55:32 | レフリー日記
「おいおい、このままだと、セミファイナルは遺恨試合になりかねないよ」

北京の事情を知る複数のレフリー仲間から、こんな声が聞こえて来だした。

グループA予選、北京デビルズvs龍邦=北京農大のOB=は、一進一退の
攻防を繰り返し乍らも、デビルズが自滅する様な形で敗戦。この結果、僕
が担当予定のセミファイナル(グループBの1位vsグループAの2位)は、
ブラザーズvs北京デビルズとなった訳だ。

話は1年程前(?)に遡るが、とある酒場での出来事。ブラザーズの選手と
デビルズの選手が口論となって、ブラザーズの選手がデビルズの選手を、
ボコボコにしてしまったと。勿論、警察沙汰にもなった様だが、それとは
別にデビルズは「向こう1年、ブラザーズとは試合を致しません」という
宣言を出していたそうで、結果、この2チームが相対するのは約2年振り
の事になるらしい。

当然、両チーム関係者はその事を意識するし、(知らぬが仏の)僕だって、
無茶苦茶する。それでなくてもブラザーズの予選での行状(合計カード=
6枚)という事も有り レフリー部も行動を起こし、実は僕が担当する試合
のアシスタントレフリーの1人が「今回が初めて」の方だったんだけど、
それをベテランさんに変更。万全のサポートを敷いて頂いた。

ELVsでは「タッチジャッジ」から「アシスタントレフリー」と、その
呼び名も変わった通り、その仕事内容の重みが増している。レフリー本人
と2名のアシスタントレフリーがピッチ上、そして両サイドから「3人で
1組のチーム」の意識で仕事に当る。中国のトップレフリー;劉さんの事
を思い出した。「これはもう、頼りまくろう」。

コイントス時の両チームキャプテンとのブリーフィングには時間を掛けた。
こういうのがレフリー権限として許されるのか否かは「?」だけど、試合
開始前から「警告発令済み」の状態とし「不行跡は勿論、故意の反則も、
試合では1発目からイエローカードを出しますよ」とする等、予め規制を
強化。そして最後は「とにかくラグビー、ラグビーをしよう!」と強調し、
握手をして両チームに戻らせた。

果たして試合開始早々、ブラザーズがノット10mの反則を犯すが、故意
によるものではないと判断。イエローカードは出さなかったが、その意図
をデビルズにもいちいち説明したり、その後も早い目のホィッスルは勿論、
そしてホィッスル後の両チームの動きには神経を尖らせた………と同時に、
いつにも益して選手には笑顔で接した。実は僕は一部のレフリー仲間から
「よく笑ってるレフリー」だと言われている。無駄な事ではないと思って
いる。

そして、そうこうする内に、試合そのものが何となくシックリして来た。
前半終了間際まで両チーム無得点という展開に、選手も「こりゃおかしな
事をやっている場合ではない。真剣に『ラグビー』をしなければこの試合、
負けてしまう」という意識になっていた。

前半の得点は結局、ブラザーズのPGによる3点のみ。

迎えた後半。両チームの真っ向勝負が続くが、ディフェンスの足が止まり
出したデビルズに対し、逆にブラザーズの走りは加速を増し何度もゲイン
ラインを突破。後半10分頃、ようやくこの試合初のトライ(ゴール失敗)
で8対0。それ以降も引き締まった試合は続き、最後はデビルズの選手が
ボールもろともタッチラインを割ってフルタイム。こうしてブラザーズが
決勝へとコマを進めた。

1つ後悔(反省)しているのはブラザーズの選手のノーバインドタックルを
見逃してしまった事。そして同じ反則をブラザーズは次の試合=決勝戦=
vs毛蟹でもやらかしてしまった事。早い段階でキチッと指導出来ていたら、
決勝戦でのノーバインドタックルは防げたかも知れない。

自己(好)評価しているのは、スクラムの組み直しが、ボールが上手く入ら
なかった1回だけだった事。毎回のスクラムで、両フロントへの意識付け
が功を呈した。

とにかく、非常に疲れたけど、故にまた非常に清々しい気分で終える事が
出来た40分の試合だった。

←マッチオフィシャル

(「つづけなくても結構」(by中ちゃん)と言われても、つづく)

Micheal.

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