テリー・イシダの『独酌酔言』。

夜な夜な酒場で一人飲み、酔った勢いであれこれ、一言、申し上げます。

年金を増やすテクニックのDMが来ました!42%増量!!怪しくありません、日本年金機構ですから^^)

2020年09月09日 | 世の中

超~久しぶりにコロナ以外の記事掲載です、

ぼちぼちね、コロナ以外の事も動いてきましたから、

今月9月で65歳になります、

まさか、自分が生まれて65年経つと65歳になるとは、子どもの頃は考えもしませんでした、
(なんのこっちゃ^^)

◆日本年金機構からDMが来ました、

そうか、お知らせが来たな、

10月から年金が満額支給になるんですね、その案内ですね、

長い間、お勤めご苦労様です、掛けていただいてた年金がやっと支給できることになりました、長年のご愛顧を感謝いたします、、、

みたいなことが書いてあるのかな~、ルンルン、と開封すると、、、

なんとまあ、えげつない内容でした、

岡八郎さんなら間違いなく『えげつなあ~』と云うはずでず、

まずキャッチコピーはこんな感じ、

受給開始を繰り下げると年金は増額できます。

そらまあ、なんとなくは知っていますが、この場合の“増額できます”という言葉は適当なのか?

というのが第1印象、

で、なにやらこんな選択肢のチャートがあるのですが、、、

スタートは、、、

『受け取る年金を増額させますか?』

おいおい、まるで怪しい金融商品の勧誘みたいなコピーです、

でも、まあいいや、年金機構もいろいろと大変なんでしょう、基金が足りませんからね、

ワタシはもうあまり収入がないので65歳から受け取らせていただきます、はい、

なので、何もしないでイイんだろうなあ~、と読み進めるととんでもない仕組みに気付きました、
(間はややこしいので割愛、折り紙の要領で折り込んでます)

基礎年金と厚生年金の両方を増額させる場合 ⇒ 今回のハガキの提出は不要です

え~~!!何もしないと、

年金は増額=受け取りを繰り下げる!(年金受給を先送りする)という意思表示になるそうです、

これにはビックリ、ちょっとたちの悪い高利貸しの契約書じゃないんだから、

何もしなかったら年金もらえないんですか!?

で、65歳から年金を受け取りたい場合、どうするのかと確認すると、、、

繰り下げを希望しない(65歳から受け取る) ⇒ 何も記入しないでこのハガキを提出してください

おいおい、なにも書かないのにハガキを出すの!?なんで??

なにも書かないんだから、出さなくてもいいんじゃない?

と、素朴な疑問に突き当たった訳です、

ここからは独酌酔言的な妄想です、、、

◆年金機構は少しでも多くの人に年金の受け取りを繰り下げて欲しい

だから、なるべく繰り下げる人が多くなるようなフォーマットを考えたらこうなった、

この素晴らしいアイデアを渾身の想いで考えた!!みたいです、

(アイデア1)
年金受け取りの繰り下げ ⇒ 年金を増額させる、と言い換えましょう!
コピーだよ、コピーが大切ですよ!

(アイデア2)
今までみたいに希望があれば繰り下げるのではなく、
何もしなければ繰り下げる!という方法に変えよう!
これがパラダイムシフトだよ!ね、発想の転換!

(アイデア3)※姑息な補足
でも、文句を云われるのは嫌だから、
ハガキを返送したら、仕方ないから65歳から支給してあげるようにはしておこう、
救済だよ、救済!

ね、完璧でしょう、これは、、、いやはや、我ながら素晴らしいアイデアだわ、

てなことがあったかどうか?は知りませんが、

とにかく、そんな感じの年金機構からのDMでした、、

ワタシにはこのDM、永年年金掛け金を払ってきた国民の気持ちに寄り添っているようには思えませんでした、

ワタシは、冒頭に書いたように感謝の言葉が欲しかった^^)
(甘えん坊か!!^^)

◆実際に繰り下げは得なのか?

手元にある情報で計算してみましょう、

仮に年に100万円の年金を受け取る権利があるとします、

これは、一度受け取り始めると増えも減りもしないのが原則です、
(たぶん)

仮に65歳で、受け取りを70歳まで繰り下げると、

失う年金金額は100万円×5年間=500万円、ですよね、

繰り下げた場合の増加率は最大42.0%、
(スマホの契約勧誘表現によくある最大OO%OFF!みたいな)

つまり、70歳から年額142万円が受け取れます、

差額は42万円、

5年間で失った年金は500万円、元を取り返すには、

500万円÷42万円=11.9年≒12年=82歳まで生きれば元が取れます、
(あくまで82歳でチャラ)

82歳以降は、月額+3.5万円ほどのバラ色の年金生活が謳歌できるということです、

ちなみにDMにはご丁寧に日本人の65歳の人の平均余命も書いていただいています、

女性=89.50歳、男性=84.70歳

なるほど、平均的に考えれば82歳以降の2.7年間はとってもハッピーになれる訳です、

しかし、82歳でもらえる年金が増えて、ホントにハッピーなんだろうか?

ここ、結構重要、

※平均余命は平均寿命とは違います、ご注意を、

◆ここまでで、年金機構の(=日本政府の)2つの切実な気持ちが読み取れます

① 収入があるうちはなるべく年金は受け取らないで欲しい
② 繰り下げても、まあトントンなところで手を打ってください

いずれも、、、基金が足りないからです、

ずいぶん昔にグリーンピアとか厚生年金会館とか作っちゃったしね、スイマセン、

こんな切実な気持ちで、現役の官僚さんがあのDMを作られたのかと思うと、悲しくなってきました、

思わず、ワタシも協力して繰り下げようか、と思えるほどの迫真の企画とアイデアです、

◆しかし、もっと怖いことがあります

思わずホロッとさせられる涙ぐましい企画とアイデアですが、

ここで矛先を緩めてはなりません、

一番怖いのは、、、

繰り下げて70歳までに死んでしまったら、本人は1円も受け取れないからです、

さすがに配偶者などは未支給の年金を受け取ることができるみたいですが、それは増額前の金額、

つまり、、、繰り下げて年金をもらわずに69歳で死んでしまったら、、、

100万円(増額前)×4年分=400万円が配偶者などに支給されるみたいです、
(縁者がいなければどうなる?国庫ナイナイやね、きっと)

これはまあ、当たり前といえば当たり前、既得権ですから、はい、

しかし、老後の生活のために70歳まである程度の収入を稼いで真面目に働こうと考えて、、、亡くなってしまう、、、

ということですから、これはこれでハッピーな訳がありません、

つまり、生きているうちに楽しんでこその人生!!

年金は本人が貰うのが一番良いと思えます、

◆元に戻って、年金機構のDMにたらないモノ、それは、、、

年金機構のDMの裏には、鬼気迫る切羽詰まった事情が隠されています、

なんとか捻り出した涙ぐましいアイデアも満載、

でも、それは数式だけでしか表現されていません、

ワタシ、難しい数式は良く分かりませんが、数式は好きです、

映画などで語られる数式の美しさを理解したいと常々思っています、

しかし!! 

年金機構の数式は美しくない!!

四則計算だけではヒトのココロは動かないのです、

たとえ、42%増額!!という名コピーでも、、、ヒトのココロは動かせない、

倍返し!!でないとヒトのココロは動かないのです、

この数式を美しく見える数式にするには、、、、

年金機構は国民への感謝を示すべきでした、敬意を表すべきでした、

永年汗水たらして働いて、掛け金を掛け続けた国民の皆さんに対して感謝と敬意を表した上で、

あの~、出来ましたらお願いしたい義があるのですが、、、

というアプローチが必要でした、

いきなりの生保か通信会社の契約獲得告知の様なアイデアは失敗でした、

ある意味、簡保の違法保険勧誘の匂いさえします、、、残念、、、

ワタシにこのチラシ企画の仕事くれないかな~、

くれたら頑張ったのになあ~、

タレントはきっと永瀬正敏さんだなあ~、

コピーは当然これでしょう、

『年金だって、、、愛だろう、愛っ。』

あ、こんなん、もう誰も知らないか^^)