宮崎駿さんの「風立ちぬ」を観てきました。観客は大人ばかりで、いつものジブリと客層がガラリと変わっていました。
子どもが観るアニメではないのでしょうね。もっとも私は夜の部だったのですが・・・
なんだかタバコ論争が起きたりしたそうですね。私はその記事を読んでいないのでどこが問題か分かりませんが、、、病人の傍らで吸ったのが悪いなら、まだ理解出来ますが。。。
私もむかし、ヘビースモーカーだったので、応援したくなります(笑)個人的な趣味や嗜好品までアレコレ言う時代なんですね~
見終わった夫の感想は「本人の意識が強過ぎて・・作品的にどうかという思いがある」とか。
私は映画の最中に恩師を思い出していました。映像作家でしたが、書くのに疲れると戦闘機の雑誌をよく見ておられた。
自衛隊の飛行機でしたが、純粋にヒコウキが好きだったからで、戦闘的意味からではなかったです。
その先生が「ゼロ戦は本当に美しい」と言っておられたのを思い出したのです。
いってみれば、男の子のロマンだったのかもしれませんが。
話題になっていたエヴァンゲリオンの庵野監督の声は本当にいい!! 心に残る、伝わる声でした。澄んでいて深いものを含んだ声だと思いました。
宮崎アニメの背景の美しさにはいつも感動します。本当に緻密に描かれていて、敬意や愛情が籠っているように感じます。
先日NHKのドキュメンタリーで、311の大震災の後、スタジオを3日間休業したことを知って声を荒げて怒っておられた。
混乱するからと言う理由で仕事を休んだことを叱ったのです。「生産を放棄してはいけない」「・・落ち着いて日々の仕事をやるしかない」と。
また、「自分の中にもミシッと変化が起こったんじゃないかと思う」と言われました。
多くの方も同じように感じたのではないでしょうか。
私は本当にものを知っている人の作品はどこか明るく、笑いがあると思っているのです、黒沢明とか宮崎駿は典型的。
その作家自身も、多弁でなくても醸し出す明るさがある。滅滅として名作を書いてもどうかと思うわけです。(大きなお世話ですが)
「風立ちぬ」は笑っていられない諸々事情があるようですね。世界的な影響力の大きい人の辛さがありそうです。
時代を洞察する眼を持っている宮崎さんが、しきりに「もう私には時間がない」という。
72歳、 ん・・・
私事ですが、この10年の間に2度入院しました。1度は検査入院でしたが、いつも「風の谷のナウシカ」を持って行くのです。
肉体が弱っている時に読む本はあまりない。心を奮い立たせて生きる意欲を回復させる時、私はナウシカなのです。
大型の7冊を読み終える頃、リセット終了します(笑
映画の「風の谷のナウシカ」よりも原作がスゴいのです。
トルメキア王家のクシャナ王女の忘れられないシーンがあって、精魂尽き果ててもう死ぬだろうと思った時、彼女は歌っていた。
死が周囲を取り囲みもう自分の成すべきことがなくなった時、ただ淡々と空を見て歌っている。
深いですよね~ いろんな意味で忘れられないシーンで、メッセージがある。すべてを手放して、個が消えていたから生き残ったといえるかもしれない・・・
今日はまとまりませんので、お口直しに「風立ちぬ」のパンフレットに出ていた美しい詩を!!
懐かしの西条八十訳ですね~
風
誰が風を 見たでしょう
僕もあなたも 見やしない
けれど木の葉を ふるわせて
風は通りぬけてゆく
誰が風を 見たでしょう
あなたも僕も 見やしない
けれど樹立が 頭をさげて
風はとおりすぎてゆく