京都府茶業研究所がリニューアル 産学公の連携強化へ

2018-01-29 13:07:28 | 創 creation
 京都の茶研究をリードしてきた府茶業研究所(宇治市白川)がリニューアルした。宇治茶の高品質化や品種育成というこれまでの役割に加え、産学公の連携を図る施設としての性格が強まったのが特徴だ。茶業の技術革新や消費拡大に向けた拠点として、機能を果たせるか注目される。

 リニューアルのお披露目となった17日の内覧会。茶業関係者の注目を集めたのは、新しい製茶研究棟に設置された新型の碾茶(てんちゃ)乾燥機。抹茶の原料となる碾茶は重油を熱源にして乾かす手法が一般的だが、新型は遠赤外線ヒーターを用いる。

 2009年から民間企業や農林水産省所管の研究機関と共同開発を続けてきた。重油を用いる従来型に比べて製茶コストが30%削減でき、大きさも6割程度で済むといい、実用化が近づいている。

 担当する研究員は「宇治茶としての品質が保てるかなどを研究し、改善点を見いだしていきたい」と説明する。見学した府茶協同組合の堀井長太郎理事長は「従来型の仕組みを踏まえた上でよく考えられている。次の新茶の季節に、従来型と新型の仕上がりを比べてみたい」と話していた。

 本館にはオープンラボを設け、開放的な研究空間が確保された。茶の機能性成分を調べる最新の分析機器を備えており、食品やそれ以外の分野における需要の拡大をにらむ。

 そのためには幅広い連携が不可欠とみて、府はリニューアルに合わせて「宇治茶イノベーション創出プラットフォーム」を立ち上げた。分野を超えて情報共有や共同研究を目指す場で、企業や大学、団体に参加を呼び掛けている。

 府茶業研究所は1925年の開所以来、茶のうまみ成分「テアニン」の発見を筆頭に、さまざまな成果を上げてきた。今後について澤﨑肇所長は「お茶を巡る消費者のニーズも変化している。企業や大学、団体と一緒になり、宇治茶振興の役割を一層果たしていきたい」と話している。

【 2018年01月26日 13時20分 】




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