SNSの拡散力はまるでパンデミックのように凄まじい。武漢からの映像が瞬く間に拡散され、著名人は日本政府の対応の遅さや生温さを批判するツイートも散見される。
内閣官房が出したメッセージが以下であるが、風評被害や差別を懸念してかまるでコロナウイルス患者もおもてなしの精神を忘れていないようだ。
◆国民の皆様へのメッセージ
○今後とも各関係機関と密に連携しながら、迅速で正確な情報提供に努めてまいります。国民の皆様におかれましては、過剰に心配することなく、マスクの着用や手洗いの徹底などの通常の感染症対策に努めていただくようお願いいたします。
○武漢市から帰国・入国される方におかれましては、咳や発熱等の症状がある場合には、検疫所で必ず申し出下さい。また、国内で症状が現れた場合は、マスクを着用するなどし、あらかじめ医療機関に連絡の上速やかに医療機関を受診していただきますよう、御協力をお願いします。なお、受診に当たっては、武漢市の滞在歴があることを申告してください。
政府は国民の不必要な動揺やパニックを懸念し、著名人は苛立ち批判する。私はこの温度差は必要だと感じる。
AFPの報道が良い意味で落ち着いていたのでここに添付する。
1月24日 AFP】中国中部・湖北(Hubei)省武漢(Wuhan)で発生した新型コロナウイルスの死者にはこれまでのところ、60歳以上でもともと健康状態が悪かったという共通点がある。
中国が最初に新型ウイルスの出現を発表した昨年12月末以降、重症急性呼吸器症候群(SARS)に類似した新型ウイルスの感染者は500人を超えた。
これまでの死者の大半は高齢者で、糖尿病や肝硬変など基礎疾患を抱えていた。一方、10歳の少年を含む若い感染者は既に退院している。
新型コロナウイルスによる死者について、分かっていることをまとめた。
■死者の大半は60歳以上
中国の国家衛生健康委員会(NHC)による23日の発表では、これまでの死者は17人。年齢は48~89歳だが、うち60歳未満は2人だけで、平均年齢は73歳だった。NHCによると大半は今週に入り亡くなったという。
一方、若い感染者は退院している。深セン(Shenzhen)の健康委員会によると、10歳の少年と35歳の男性が23日に退院した。
■多くは基礎疾患があった
死者の多くは、新型ウイルスに感染する前から糖尿病や高血圧などの基礎疾患を抱えており、もともと健康状態が悪かった。
9日に入院した86歳の男性は、4年前に結腸がんの手術を受けていた他、高血圧と糖尿病も患っていた。また、80歳の女性はパーキンソン病で、高血圧と糖尿病の病歴が20年以上あった。
■死亡前に数週間入院していた人もいる
23日までに死亡した17人の中には、それまで数週間入院していた人もいる。このため、病院は長期に及ぶ治療に備えなければいけない可能性がある。
死者の中で最年少の48歳の女性は、亡くなるまで1か月以上入院していた。NHCによるとこの女性は昨年12月10日に熱、せき、体の痛み、疲労感を訴え、2週間にわたる抗感染症治療を受けた。12月末には息切れと胸部の圧迫感を訴え、1月20日に亡くなった。
だが、NHCによると亡くなった全員が入院前に発熱を訴えていたわけではないという。
報道によると66歳の男性は「主に乾性せきの症状」があったが、12月22日の時点で熱はなかった。だが、それから1週間以上後に息切れの症状が出て、1月中旬には人工呼吸器が装着された。
英医学研究支援団体ウェルカムトラスト(Wellcome Trust)のジェレミー・ファラー(Jeremy Farrar)代表は「新型ウイルスが引き起こす症状の重症度の範囲は大きな懸念事項だ」と指摘する。
「感染しても軽度の症状しか出ない人がいることは明らかだ。ひょっとすると全く症状が出ていない人もいるかもしれない」と、ファラー氏はメール回答で説明した。「このため実際の感染者数やヒト・ヒト感染の規模も覆い隠されている可能性がある」 (c)Eva XIAO