アメリカで4か月連続で自動車販売が減少(前年比)している。
先月までは利幅の大きい大型車(SUVなど含むライト・トラック)の販売は増加を保っていたが、4月、大型車の販売も微減に転じた。
この理由のひとつと考えられるのが、サブプライム(信用の低い人向け)の自動車ローンの損失増加とそれにともなう自動車ローン縮小である。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ 5/3)によると、証券化されたサブプライムローンの損失は昨年末に10%を超えた。
これには、①ローンを返済できない人が増えたことと、②差し押さえた車の販売価格が低迷し、差し押さえた車の売却による損失補てん率が低下していることが関係している。
WSJによると、2011年に証券化されたサブプライムローンは押収した車を売却することで貸出の65%をカバーできたが、2015年に証券化されたものはそれが51%にまで低下している。
この背景には、この数年間にリース販売(数年後に一定価格で買い戻す特約つきの販売)された車やフリート販売(レンタカー会社への安値での大量販売)された車が市場にあふれるようになり、中古車価格の低下が進んでいることがある。
こうした事態をうけ、ウェルズ・ファーゴの2017年第一四半期の新規自動車ローンは前年比で29%の減少となるなど、大手銀行で貸出し縮小が進んでいる。
リーマンショック後、サブプライムの住宅ローンは貸し出しがほとんど増えていないが、自動車ローンではサブプライムの貸し出しが大幅に増加している。
自動車販売の減少が一時的なもので終わるか長期的なトレンドとなるのか、今後数か月、米自動車市場の動向に注意が必要である。