大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

電気自動車の急速充電、欧米で急速に進む: 日本は決定的に出遅れ

2017年10月09日 | 日記

 現在、家庭電源をつかうと電気自動車のフル充電には一晩かかる。

 この充電時間の長さが電気自動車普及をさまたげる要因のひとつとなっている。

 しかし、ここにきて、欧米では10分ほどで充電がおわる急速充電が急速に普及するきざしがでてきた。

 ニューヨーク・タイムズ(2017/10/6)は以下のように伝えている。

 ヨーロッパでは今年、次世代型350kw(キロワット)の急速充電施設が登場した。

 これを使うと10-15分で4-500km走れる電気自動車を80%充電することができる(ただしこれを利用できる電気自動車はまだ市販されていない)。

 独フォルクスワーゲンは、20億ドル(2200億円:1ドル=110円)を投じてアメリカの高速道路沿いにこの急速充電施設を設置していく予定-つまりVWは今後、急速充電可能な車を次々に発売していく予定なのだろう-。

 また充電施設で米シェア1位のチャージ・ポイントもシェアを守るため、400kwの急速充電施設を2020年までに千カ所以上設置する計画をたてている。

 なお急速充電を安全におこなうには、特別の設計が必要となる。

 充電メーカーは、2019年ごろには急速充電可能な市販車が登場するとみている(ちなみに急速充電可能なポルシェMission Eは2020年の発売が決まっており、VWがすでに急速充電の技術を獲得していることを示している-ポルシェはVWのグループ企業-)。

 また急速充電は大量の電力を必要とするため、配電施設の改修など送電網のアップデートも必要になる。

 ヨーロッパではすでに、電気自動車の普及を前提に送発電をどのように整備していくか具体的な計画づくりがはじまっている。

 アメリカでも事情は同じ。

 一方日本はメーカー、行政、メディアともに電気自動車懐疑論が強いこともあり、この分野で大きく出遅れつつあるようにみえる。

 気がかりである。