オート・モーティブ・ニュース(AMN)によれば、2017年10月25日(水)、UAW(全米自動車労組)はNLRB(米労働関係委員会)にテスラを不当労働行為で訴えた。
電気自動車ブームの火付け役としてテスラは今、世界中から注目を集めている。
ただテスラの生産労働者の賃金は17-21ドル(1900-2300円:1ドル=110円で計算)で、他の自動車メーカーよりかなり低い(ビッグ3のティア1-古参-労働者の賃金は28ドル)。<テスラCEOのマスク氏は、従業員持ち株などを入れれば賃金水準はビッグ3を上回ると主張している>
またテスラの労働者の一部は、労働者不足とスピード・アップによってテスラでは労災が多発していると告発している。 <テスラは否定>
こうした状況をうけ、UAWがテスラ(カリフォルニア)の組織化を強化するなか、テスラは400人以上の労働者を解雇。
UAWは組合を支持する者が狙い撃ちで解雇されたとして、NLRB(日本の労働委員会に相当する組織)にテスラを訴えた。
一方、テスラは解雇はあくまで業績評価に基づくものだと主張している。
今、テスラは45万台という受注残(モデル3)を抱えながら、生産が停滞している。
日本ではあまりニュースにならなかったが、テスラは第3四半期に2.5万台の自動車を生産したがモデル3の生産はわずか260台にとどまった。
欧米の経済紙はこぞって、テスラは生産上の大きなボトルネックを抱えていると指摘している。
テスラは年末までには週5千台の生産ペースに乗せるとしているが、労働者を大量解雇しながらはたして順調な生産が可能なのであろうか。
南アフリカ生まれのマスク氏は、スペースX社のCEOとして火星への人類移住計画を進めるという壮大な仕事をおこなう一方、テスラ社ではストップ・ウォッチを持って生産現場に入るなどミクロ・マネジメント(現場の細かいことまで指図する)もしっかりおこなうという面ももっている。
マスク氏には、生産効率を重視するあまりクリーンな企業イメージを壊してしまわないよう強く望みたい。