中国政府は2018年前半は過剰債務を縮小する方向でうごいているようにみえたが、景気減速や米中貿易摩擦が激化する可能性が高まり、年後半に入ってからは景気刺激のため積極財政、金融緩和に方向転換している。
昨日もロイター(2018/10/17)が、中国における新規の銀行貸し出しが8月の1.28兆元(21兆円:1元=16.5円)から9月には1.38兆元(23兆円)に増加したと報じた。ロイターは、このペースで貸し出しが増加すれば今年の貸し出しは昨年を上回って過去最高になるとしている。
その一方で気になるのが物価の上昇。
2018年10月16日(月)、中国国家統計局は9月のインフレ率(CPI)が前年比で2.5%の上昇になったと発表した。中国政府が目標とする3%には達していないが、このところ物価の上昇が続いている。
その背景のひとつが元安。今年の4月には1ドル=6.3元ぐらいだったのが現在は1ドル=6.9元ぐらいとなり、半年でおよそ10%程度の元安になっている。
元安は輸出の支援材料になる一方、輸入物価を引き上げる。
後者の影響をおさえるため中国では輸入関税の引き下げがおこなわれているが、それでも物価への影響は少なくないものと思われる。
景気刺激のための積極財政、金融緩和と物価の安定は水と油の関係。中国政府が、この難しいバランスをどのようにとっていくのか引き続き注視していきたい。