大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

マウントゴックスの仮想通貨流出事件、カルプレス氏に執行猶予: 長期勾留を見直すきっかけに

2019年03月16日 | 日記

 2019年3月15日(金)、東京地裁は、仮想通貨交換会社マウントゴックス事件で起訴されていたカルプレス氏に対し、業務上横領罪などを無罪としたうえで執行猶予4年(懲役2年6月)を言い渡した。検察は懲役10年を求めており、判決は事実上のカルプレス氏の勝利を意味する。

 2014年2月、当時、世界最大級だった仮想通貨交換会社マウントゴックスから500億円近い仮想通貨が流出。同年4月、東京地裁は同社の破産手続きをはじめた。

 そして2015年8月、カルプレス氏は、データの改ざん、顧客から預かった資金の着服(業務上横領)などの容疑で逮捕され、裁判がはじまる2016年7月までおよそ1年間、勾留されることになった(資金流出についての罪には問われていない)。

 ところが、ウォールストリートジャーナルによると、2017年7月、マウントゴックスから仮想通貨を流出させ、それをマネーロンダリングした容疑でロシア国籍のアレキサンダー・ビニク容疑者がギリシャで逮捕されることになった(現在、同容疑者のアメリカへの引き渡しをめぐってギリシャで裁判がおこなわれている最中)。

 また仮想通貨の値上がりにより、2018年9月までにハッキングを逃れた資産の1/3を売却することで700億円の売却益を確保できており、顧客の資産回復も順調に進む見込みになっている。

 こうしたなか、東京地裁は今回、データの書き換えについてはその罪を認めたものの、より重い顧客から預かった資金の着服についてはこれを否定し、執行猶予4年の判決をくだした。

 これがゴーン氏の件とあわせ、欧米でみられなくなって久しい長期勾留を見直すきっかけとなればなあと思う。