大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

中国、EV生産の中心地に: 今年160万台のEV販売の見込み

2019年04月18日 | 日記

 中国がEV(電気自動車)生産の中心地としての地位をかためつつある。

 オートモーティブ・ニュースによれば現在、中国には486社のEVメーカーが存在している(2年前から3倍増)。

 2018年、日本のEV販売台数は3万台を割り込んでいるが、今年(2019年)、中国では160万台のEV販売がみこまれている(2018年は126万台)。

 日本の年間自動車販売台数(軽含む)はおよそ500万台。中国では、その1/3にあたる台数がEVということになる。

 こうしたトレンドを支えてきたのが、①EV購入への寛大な補助金と②自動車メーカーに一定比率のEV販売を義務付ける仕組み。

 後者についていうと、中国政府は2019年、2020年、自動車メーカーに販売台数の3-4%をEVにすることを義務付けている。これを満たせないと課徴金などのペナルティーが発生する。ウォールストリートジャーナルは、たとえばトヨタ、日産、ホンダについてそれぞれ2年間に約10万台のEV販売が必要になるとしている。これが日系メーカーが中国でEV販売を急ぐ大きな要因となっている。

 補助金についていうと、メディアによって伝える数字が少しずつ違うのだが、ウォールストリートジャーナルによれば中央政府から最大6.6万元(100万円:1元=16.5円)、地方政府からその1.5倍の補助金が出ている。

 しかし、中国政府は2019年3月末、補助金の段階的縮小、廃止を決定。WSJ紙によれば、2019年6月から中央政府の補助金が半分、地方政府の補助金は廃止になり、2020年には中央政府の補助金も廃止される予定。

 オートモーティブ・ニュースは、中国では年390万台のEV生産能力がある(!)ことから、補助金削減、廃止などを契機にこれから中国でEVメーカーの淘汰がはじまると予想している。

 激しい競争をどのメーカーが勝ち残るのか注意してみていきたい。

 

Byton  中国のEVスタートアップ企業。BMWでEV開発をしていたブレイトフェルド氏などが中心になって設立。蘇寧電器(ラオックスの親会社)、第一汽車、Contemporary Amperex Technolog (CATL:EVバッテリーメーカー)などが出資。2020年末までにアメリカで電気自動車を発売の予定。

ニーオ(Nio) 中国のEVスタートアップ企業。

WM Motor(威馬) 中国のIT企業(百度、テンセント)が出資

Xpeng Motors(シャオペン、小鵬汽車) 中台のIT企業(アリババやフォクスコン)が出資

Youxia Motors(游侠汽車) 

BYD(比亜迪汽車) バフェット氏が出資

BJEV(北汽新能源) 北京汽車(BAIC)のEVに特化した子会社