フィナンシャルタイムズは、為替ヘッジするコストが上昇しているため日欧で為替ヘッジなしで米国債などを購入する企業が増えており、市場がかく乱される可能性がたかまっていると警告している。
為替レートの変動による損失を回避するために必要なのが為替ヘッジ。このコストが日欧で高騰している。
たとえば、ヨーロッパの投資家は、米10年債(2.58%)を為替ヘッジすると年-0.5%という損失が発生する状態になっている。
日本でも同様で、米10年債を為替ヘッジすると年-0.3%の損失になる状態となっている。
FT紙は、ここから日欧の金融機関は最近では為替ヘッジなしで米国債や米社債投資を進めているとしている。
たとえば、日本の金融機関は2019年3月に100億ドル(1.1兆円:1ドル=110円)の米国債を購入しているが、FT紙はそのかなりの部分は為替ヘッジされていないと推測している(ヘッジしたら損失になってしまうため)。
そしてFT紙は、急激なドル安や為替ヘッジ・コストの急上昇がおこると、損失を回避するため保有資産の投げ売りが大量に出て、市場をかく乱するおそれが高まっているとしている。
あらゆるリスクを慎重に検討するFT紙らしい記事である。
追記
FT紙の別の記事は、日本の金融機関は、ドル安の可能性が小さいとみて為替ヘッジをしない米投資を拡大する機関と、ヘッジできない米債投資から欧州へ投資を切り替える機関にわかれているとしている。