大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

米政権、フードスタンプの受給条件を引き上げ

2019年12月20日 | 経済

 ウォールストリートジャーナルによれば、トランプ政権は食糧支給(フードスタンプ)受給資格を厳しくすることを決定した。

 アメリカでは連邦政府が、家族数や扶養家族の人数を基準に貧困基準(貧困と認定される所得水準)をさだめている。

 たとえば2018年は、65歳未満の一人暮らしの方については年収13,064ドル(144万円:1ドル=110円)が貧困基準となっている。

 そして連邦政府は、この貧困基準の130%以下、上の一人暮らしの方でいえば年収187万円以下の方にたいし必要な食糧だけをかえるデビットカード(昔はチケット)を支給している。

 これは一般にフードスタンププログラムといわれている。

 アメリカでは現在、3640万人のひとがこのフードスタンプの受給をうけている(人口の1割以上)。

 ところが今回、トランプ政権は扶養家族がいない方について受給条件を引き上げることを決定した。

 現在、扶養家族がなく労働能力がある場合、3か月をこえてフードスタンプを受給するには週20時間以上働くか職業訓練をうけることが必要となっている。

 ただし、失業率全国平均を20%以上うわまわる州は、その条件を無効にすることができる(2019年11月の全国失業率は3.6%)。

 今回トランプ政権は、これを失業率が6%以上の場合にかぎって州は上記の条件を無効にできると改めることを決定した。

 フードスタンプを管轄する米農務省は、これにより22.3万人の方が受給資格をうしなうことになると試算している。

 これに対し民主党は、低賃金で働ける時間がかぎられるため貧困に陥っている人が多く、こうした方々が3か月で生活をささえる仕事をみつけるのは困難だと今回の決定を批判している。