アメリカで企業業績が低迷するなか株価が史上最高値を更新しつづけている。
背景にあるのが金融緩和の継続期待とブレグジットや米中貿易摩擦などへの懸念後退。
FED(米連銀)は今年3回の利下げをおこなうとともに、短期資金市場を安定させるという名目で月600億ドル(6.6兆円:1ドル=110円)の国債買い入れをはじめた。
市場では2020年中の金利据え置きが期待されている。
ブレグジットは出口がみえ、1月には米中貿易協議(フェーズ1)の決着(調印)もみこまれている。
ウォールストリートジャーナルによれば、2020年は米企業の業績回復(前年比10%アップ)も期待されるようになっている。
しかしながら、米株価のPER(株価が一株当たり利益の何倍にあたるかという数字)は歴史的にみてかなり割高(企業業績からみて高く評価されすぎ)な水準になっている。
出所: シラー氏がHPで提供するデータ(1881年1月~2019年12月)
上は、2013年にノーベル経済学賞を受賞したシラー氏が考案した調整PER(CAPE)のグラフ。
これは、S&P株価指数が一株当たり利益の10年平均の何倍になるかをあらわしたもの(ともにインフレ補正後)。
短期的な景気変動の影響をのぞくため一株当たり利益について1年の利益でなく10年平均を使うところに特徴がある。
ところでシラー氏は、米企業の調整PER(CAPE)は一時的におおきく上昇したり下落したりしたことがあったが、すべて歴史的な平均水準にもどっていると指摘している。
つまり、株価が歴史的な水準(CAPE)をこえて上がり続けることはない、と指摘している。
現在の調整PER(CAPE)はうえのグラフでわかるように大恐慌時と同じ水準にまで高くなっている。
調整PER(CAPE)の上昇がいつまで続くのか注意してみていきたい。