一昔前から人気のあるTVドラマ刑事コロンボで、評価が高い作品に邦訳「二枚のドガ の絵」(原題は"Suitable for Framing"1971)がある。
このドラマの中に出てくる上流階級に属する美術批評家が犯人なのだが、この「2枚のドガの絵」とは、実際には存在しないドガ の作品ではなく、一般にはあまり知られていないが、現実に存在する作品だ。
それらの作品は、ドラマでは、複製画が使われているのだろう。
その2点のドガ の作品とは、今日、オルセー美術館ある「バレーの舞台稽古」と称されるドガの初期ダンス作品に重要な関連がある2点の素描作品である。
オルセー美術館にある作品の左端部に背中を見せているダンサーと、奇妙に顔だけ見せているダンサーの隣で左手を挙げているダンサーがいるが、彼女たちの素描が、TVドラマ、刑事コロンボの中に出てくるドガの「二枚の絵」だ。
オルセー美術館にあるドガ の作品に関連する2点の素描作品が、TVドラマの中で重要なテーマに絡んでいるのが、ちょっと意外で、面白いが、美術コレクターの叔父を殺した犯人が、ちょっと屈折した有能な美術批評家だから、それらが価値あるものと知っていたのは不自然ではないのだろう。
なお、これとの類似作品はメトロポリタン美術館にもあるが、「二枚のドガの絵 」との関連性は、オルセー美術館の作品との方が分かり易いだろう。
また、2点のドガ の素描のうち1点は、有名なオークション会社クリスティーズで扱われていたようだ。現在もそうかどうかは分からないが、その評価額もコロンボ・ファンには参考になろう。