「心あてに折らばや折らむ初霜の置きまどはせる白菊の花」(凡河内躬恒)
ピーター・J・マクミランの今日2020-11-25の朝日新聞記事を読んで、茨城県近代美術館にあるマネの「白菊の図」(上図)に思いを重ねた。
今の時期、散歩すると、民家のあちこちに白菊が目立つ。
先の和歌について、マクミラン氏は言う。
「撰者である定家がいかに白という色を好んでいたのかが窺える。特に白いものと白いものを重ねる例には、今回の歌の菊と霜のほか…」
しかし様々な白と白の取り合わせを好むのは何も定家だけではなかろう。
P.ヴァレリーなどにより黒の魅力が強調される画家マネだが、彼の白の扱いもなかなか魅力的だ。
白菊の図にも微妙に白と白とが重ねられたり、小さな画面の中で複数の白が互いに響き合っている。
それは、あの一本のアスパラガスを描いた時もそうだった。
それと、今、思い出したが、マネが描いた、洒落た白いズボンをはいた「ブラン氏の肖像」(国立西洋美術館蔵)。
マネの作品における黒の魅力は、スペイン美術の影響があるかも知れないが、彼の絵画における白の魅力が、ひょっとすると日本美術から来ているとすれば、ちょっと面白い。
※画像は、アーティゾン美術館における「琳派と印象派」展の「美術手帖」記事より引用。