美術の学芸ノート

中村彝などの美術を中心に近代日本美術、印象派などの西洋美術、美術の真贋問題、個人的なつぶやきやメモなどを記します。

中村彝の書簡に「ピュールテ」の語の使用例

2024-07-05 00:10:49 | 中村彝
 かつて私は、『藝術の無限感』の中の「中原悌二郎君を憶ふ」に「レピュテ」なる語が出てくるが(新装版、84頁)、これでは意味が通らないので、「ピュルテ」の誤植か、何らかの間違いではないかと書いた

 これに関連してその後、保田龍門宛の彝の書簡(大正7年4月10日)に「ピュールテ」なる語があるのを確かめた(同書、新装版、266頁)ので報告しておく。
 「線条と色彩のピュールテと光輝とキャラクターとはその部分的の力にあるのでなく…」

 この書簡によって、彝はやはり少なくとも「ピュールテ」というフランス語を遣っていたことが分かる。
 つまり、同書の初版及び新装版に「レピュテ」とあるのは、思い当たるフランス語も想定できず、「ピュルテ」の誤植か何らかの間違いである可能性がきわめて高いということがはっきりした。

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