十勝の活性化を考える会

     
 勉強会や講演会を開催し十勝の歴史及び現状などを学ぶことを通じて十勝の課題とその解決策を議論しましょう

猪瀬直樹著「昭和16年夏の敗戦」を読んで

2022-12-09 05:00:00 | 投稿

 

『 猪瀬直樹著「昭和16年夏の敗戦」を読んだ。暑い夏と言えば、8月15日の終戦記念日が頭に浮かぶ。今年で77回目を迎え、いま行なわれているロシア・ウクライナ戦争の不条理が、大いに叫ばれている。

著者の猪瀬直樹氏は、元東京都知事であった。この本は日米開戦前の昭和16年夏にアメリカと開戦した場合、日本が負ける予想を行なった震撼すべき内容で、久しぶりに一気に読んだ。

 テーマである課題を研究する総理大臣の直轄研究所である「総力戦研究所」が、昭和15年9月に開設された。この研究所は、各省庁等(陸軍・海軍・民間人を含む)から選抜された30歳前後のエリート35名の研究生で組織され、模擬内閣を作り出身省庁等からの資料に基づき侃々諤々(かんかんがくがく)の論議をして開戦の4ケ月前に、「日本は必ず負ける」との判断に至った。

その内容は、緒戦は優勢ながら徐々に米国との産業力・物資の差が顕在化し、やがてソ連が参戦して、開戦から3~4年で日本が負けるとなっており、原爆投下以外の予想がすべて当たっていた。

 結論内容は、開戦前の8月下旬に近衛内閣に報告された。時の東条英機陸軍大臣から、「これはあくまで机上の演習であって、実際の戦争は、君達が考えているようにはならない」と発言された。結局は葬り去られ、日の目を見ることはなかった。

その後、10月に東条英機内閣が成立し、12月8日の真珠湾攻撃を契機に日米開戦が勃発する。 統計資料で軍事費を調べると、昭和に入り国家予算の3割程度で推移した。昭和10年からは5割程度。昭和12年度からは一気に5割を超える予算が軍事費に使用され、昭和19年には8割強が使用されていた。

 昭和16年当時、このように軍拡路線一直線の最中であり、敗戦報告のシュミュレーションを真に受けて、時の政権・御前会議は、戦争方針からハンドルを切り得たであろうか。当時の国情からは、疑問である。

この本は、知られざる実話をもとに日本が“無謀な戦争"に突入したプロセスを描き、意思決定のあるべき姿を示している。

 最後に一言。この本は国家が方針を決め、推進中での方針の変更が極めて困難であることを示唆している。現在、日本は文民統制(シビリアンコントロール)が機能している。戦前のように為政者の判断が、戦争への道を歩まないよう注視していくのが、戦後を生きる者の責務であると最近の世界の政情を見て痛感している。』

「十勝の活性化を考える会」ブログ読者M


直木賞候補の本“絞め殺しの樹”

2022-12-08 05:00:00 | 投稿

 

絞め殺しの樹”に、どんな木だって、いつかは枯れると書かれていた。私の趣味はガーデニングであるので、殊更にこの意味が深く感じられた。人間も寿命が来ると、いつかは死ぬのである。

地球の人口が80億人を突破したらしいが、世界の科学者や自然保護団体などが集まる国際自然保護連合の調べでは、動物だけで約140万種。その中の1種であるレミング(和名:タビネズミ)は、多くなると食糧危機で一斉に自殺するらしい。そうすると人類も、そのうちに自殺しなければならないということであろうか。原因は違うが、直木賞候補の本にある主人公の娘もイジメを苦に11歳の時に自殺している。

この本には、人間の役割のことも書いていた。私は71歳で年金生活者であるが、自分の役割はまだあると思っている。我々は働けるうちは働いて、世のため人のために自分の役割を果たすことだと思っている。頭を使って働けば、認知症の予防にもつながる。

難聴者の友人(73歳)は、床屋の経営を息子に譲って土曜日と日曜日の2日間だけ店に出るようになったため認知症になったらしい。環境が大きく変わると、人間は認知症になりやすいのである。

今月の地元新聞で分かったことだが、小・中学校が4年間も一緒だった同級生が、奥さんを殺して本人も自殺しようとした事件があった。死にきれなく警察に自首したが、本人は認知症を患いそれが原因で妻も精神病をなったらしい。いずれにせよ、老々介護の痛ましい事件である。

私は11年前に、35ccの要介護3の小脳出血を患った。死んでもおかしくない量で、後遺症で右半身にマヒが残り車の運転はできないが、普通の生活をしている。周りの人に、「あなたはいつも前向きで良いですね!」と言われるが、前向きにリハビリを取り組まないと中途障害は治らないと思っている。

話は変わるが、我々は毎日報道されるロシア・ウクライナ戦争の行方に注目しているが、その間も地球温暖化は、確実に進行しているのである。先日、放映されたテレビでは南極の氷が解け始めている。また、世界の国々が異常気象で水害や干ばつに遭っている。いつになるかわからないが、50メートルも海面が上がる予測もあった。これがもし本当だとしたら、数億人の人類が死ぬだろう。

「十勝の活性化を考える会」会員


道の駅“おとふけ”

2022-12-07 05:00:00 | 投稿

 道の駅おとふけなつぞらのふる里は、令和4415日にオープンした。道の駅は十勝でも16カ所あり、17番目のオープンである。日本の食を支えている音更町だけあって、「十勝の食の集結」をコンセプトに9軒の飲食店が出店していた。

音更町(人口:約45千人)は、パンやうどんの原料となる小麦、納豆、豆腐などの原料となる大豆の日本一の収穫量を誇っており、小麦工場、納豆・豆腐工場、乳製品工場等々の食生活に必要なものを作っている会社がたくさんある。

道の駅は、道路利用者のための「買物、食事、休憩機能」、道路利用者や地域の人々のための「情報発信機能」、道の駅を核としてその地域の町同士が連携する「地域の連携機能」という機能を持って設置されている。

20年前までは十勝にも、幹線道路沿いにドライブインというものが多くあったが、魅力的な道の駅に押されて無くなった。これからは、国道241号線は、道の駅街道と呼ばれるようになるだろうが、一方で、どこもかしこも道の駅ができて共倒れになることを心配している。

地元新聞によれば、道の駅 “おとふけはインターチェンジのすぐそばにあり、ゴールデンウイーク中に管外からの人などで約13万人の人出であったそうで、5月連休明けの平日にもかなりの人出でにぎわっていた。

ただ、隣町の士幌町と上士幌町に作られた道の駅は閑散としていた。音更町で育った者として道の駅ができて音更町がにぎわうのは良いが、十勝は一つであり一極に集中しなければ良いと思っている。道の駅おとふけでパンや農産物を買ってきたが、購買客に尋ねると高級感を感じる道の駅として差別化を図っているらしい。

ところで、事業停止した国際ホテル筒井温泉付近の長流枝には、新しく高速道路のインターチェンジができて札幌・釧路方面の人々が利用するのに大変便利になるので、美人の湯の「モール温泉」である十勝川温泉が再興するのは間違いない。温泉は美人になるだけではなく健康にも良いので、食料基地である十勝が、長寿のまち十勝としても売り出していけると思っている。

ただ、十勝も過疎化現象によって、長い目で見れば都市と地方のように二極化現象が避けられず、道の駅を十勝の活性化のひとつにしなければならないと思っている。道の駅おとふけの発展を期待したい。

「十勝の活性化を考える会」会員


バラマキ財政

2022-12-06 05:00:00 | 投稿

  

令和3年文芸春秋11月号に“財務次官、モノ申す” のとおり、このままでは国家財政は破綻すると、財務次官 矢野康治氏は熱っぽく語っていた。ただ、誰が総理になっても約1,200兆円の借金からは、逃がれることはできないと思っている。

不安を助長するつもりはないが、コロナ対策は大事だが人気取りの赤字国債のバラマキを続けていけば、日本はそのうちに沈むだろう。矢野康治氏の文章(抜粋)は、次のとおりである。

『 「最近のバラマキ合戦のような政策論を聞いていて、やむにやまれぬ大和魂か、もうじっと黙っているわけにはいかない、ここで言うべきことを言わねば卑怯でさえあると思います。 数十兆円もの大規模な経済対策が謳われ、一方では、財政収支黒字化の凍結が訴えられ、さらには消費税率の引き下げまでが提案されている。まるで国庫には、無尽蔵にお金があるかのような話ばかりが聞こえてきます。 

(中略)

昨今のバラマキ的な政策論議は、実現可能性、有効性、弊害といった観点から、かなり深刻な問題をはらんだものが多くなっています。それでも財務省はこれまで声を張り上げて理解を得る努力を十分にして来たとは言えません。そのことが一連のバラマキ合戦を助長している面もあるのではないかと思います。

先ほどのタイタニック号の喩えでいえば、衝突するまでの距離はわからないけれど、日本が氷山に向かって突進していることだけは確かなのです。この破滅的な衝突を避けるには、「不都合な真実」もきちんと直視し、先送りすることなく、最も賢明なやり方で対処していかねばならなりません。そうしなければ、将来必ず、財政が破綻するか、大きな負担が国民にのしかかってきます。

今回は、「心あるモノ言う犬」の一人として、日本の財政に関する懸念について私の率直な意見を述べさせていただきました。今後も謙虚にひたむきに、知性と理性を研ぎ澄ませて、財政再建に取り組んでいきたいと思っています。』

財務省事務方トップの矢野康治事務次官(59)が、令和3年10月末の総選挙に向けて、与野党ともにバラマキ合戦のような経済政策をアピールする中で、財源も不確かな財政楽観論を諫めようと、既述のとおり論文を寄稿していた。

日本のようなデフレ経済には、現代貨幣理論(MMC)の効果が期待できないと思っている。なぜなら、国債という国の借金が財政負担になっており、円安や人口減少傾向の日本にとって効果がなく、国民への負担になるからである。

選挙では票の多い方が勝つが、「バラマキ政策」、「人気取り」など、今の日本の政治は国民を考えていないようである。与党や野党もお金を限りなく印刷していると、モラルハザードを起こす。

「MMT」は日本では通用しないし、日銀など関係機関にも認知されていないようである。今のような日本経済においては、財政政策にしても金融政策にしても、経済成長を遂げるのは難しいということである。

先日の宿泊は、札幌駅に近いSビジネスホテルであった。朝食付きに7,400円であったが、実質の支払った宿泊代は1,400円で、そのからくりは、「全国旅行支援北海道LOVE割3,000円」と「北海道応援クーポン3,000円」付きの6,000円引きであった。このLOVE割りやクーポン券は、税金や赤字国債で賄われているので、財政悪化の原因のひとつである。

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差別と区別の違い

2022-12-05 05:00:00 | 投稿

「差別」と「区別」は難しい問題であるが、本質的な問題である。「分ける」という行為に、非合理性を認識した時に「差別」という言葉が用いられ、合理性を認識した時には、「区別」という言葉が用いられる。

女性に選挙権が与えられないのは、「女性差別」とされる。それには、合理的な理由がないからである。一方、同じ日本人でも小学生に選挙権がないのは「区別」とされる。判断力の乏しい小学生に選挙権がないのは、合理的な理由があるからである。

しかし、この問題はそれほど単純ではない。何をもって合理的とされ、何をもって非合理的とされる理由は、それほど簡単ではないからである。「差別をしてはならない」というのは現代社会の鉄則であり、人権思想の高まりはその考えを強く主張してきた。 

アイヌは長い間、この差別に苦しんできた。そして差別は、いまも続いている。区別ではない。差別である。アイヌの差別の歴史は古い。差別とは、人にをつけ、自分とはの存在として一種の排除をすることである。

人間には、出自、能力、障害、外見などの合理的あるいは非合理的な様々な違いや差があることは否定できない。大切なことは、その事実を認めたうえでその違いや差によって人を排除せず、人間として共生していくことが大切であると思う。

差別には、人種差別、男女差別、宗教差別、身分差別、障害者差別、学歴差別、職業差別、コロナ差別などたくさんある。これらの差別は、人間が持っている我欲が原因だと思っている。社会生活のためには、この我欲を少しでも抑えることが必要となる。

なぜなら、人間は生まれながらにして欲望のもとに生き、人間社会はこの我欲で成り立っているからである。往々にして我欲は人間関係で衝突するため、社会生活の秩序として躾、道徳・倫理などがあるのだろう。

しかし、現在社会や世界情勢をみるに、イデオロギーや宗教の複雑化もあって戦争や内戦が絶えないが、ロシアの大統領を見ていると、人間としてのありように問題があると思っている。

「差別」と「区別」は難しい問題であるが、本質的な問題である。この問題はそれほど単純とは言えず、何をもって合理的とされ、何をもって非合理的とされるかはそう簡単ではない。本質的な問題とは、「我々がいかなる社会を目指すのか」、ということにもつながる。最後に一言。十勝だけには差別がないところであってほしい。

 「十勝の活性化を考える会」会員