枕上書 番外編より
(小仙童が抱っこして来た 真っ赤な九尾の小狐・・・
帝君の明晰な頭脳ではぴんと来るものが
あったと思うのですが???)
「何の用だ?」
「僕たちは 金鏡湖の横で この珍しい子狐を拾い
ました。帝座は ふさふさしたものがお好きなので
お持ちしました。抱っこしてみますか?」
帝君は 確かに ふさふさしたものが好きで、
見たら 抱っこせずにはいられないたちだった。
子狐は ふさふさの美しい毛並みをしていた。
そうして、 もちろん 子狐を抱いたが、子狐が
ぴったり目をつぶって動かないので、
「この子は どうしたのか?」と仙童に訪ねた。
「私たちが拾った時には、この狐は 気を失って
いたのです。でもご心配には及びません。
既に 清心丸を飲ませましたので、じきに
目を覚ますはずです」
帝君は頷くと 子狐の額をさすってから仙童たちに
「それなら ペットとして飼う事にしよう。貴方たちは
居心地の良い巣を作ってあげなさい」
その時、着替えを終えて戻って来たゴンゴンは
「巣」という言葉を聞いて 興味をひかれ、帝君を見た。
そして、腕に抱かれている子狐を一目見ると、
目を見開き「ああ、母上!」と叫んだ。
折顔上神は ゴンゴンを見、帝君を見、帝君の腕の中の
子狐を見て「あぁ、一家三人が揃ったね!」と言った。
帝君の顔は再び白くなった・・・
腕の中の子狐を 下ろそうか下すまいか?・・・
一瞬、自分が誰で ここがどこなのか?何をするべきか
分からなくなった。
小仙童たちは 帝君を見た。「あれえ・・帝君は
この子狐を娶るのですか?なら、巣を作る必要は
ないですよね?😁」
(子狐が目覚めたのは 真夜中だった・・・小仙童
たちはうっかり酒で薬を飲ませてしまっていた
のだった(!)
子狐は 客間で目を覚ます・・・)
鳳九は 目をこすりながら身体を起こしたが
座り心地に違和感があった。あれ?と思って
確認すると、原身の姿になっている・・・
長らく狐の姿で寝る事がなかったので、?
と思ったが 人型に変身してベッドを降りると
靴をつっかけて 窓辺に行った。
東の空高く 満月がかかり、月光に照らされた
地には 紫色の霞が仙山を覆い、碧海には
かすかにさざ波がたっている。見慣れた碧海蒼霊
の風景・・・
昼間、仙童が酒で薬を飲ませたせいで、鳳九の
頭はぼんやりしていた為、自分がゴンゴンを探して
時空を超えた事は頭になかったので、碧海蒼霊に
来た事だけを認識した。
そうして、自分のいる場所が、客間である事に
気付いた。
? なぜ私は客間に? それにしても眠いわ・・・
あくびをしながら、入り口で熟睡している二人の
小仙童の横を通り抜けて いつもの寝室へ向かった。