VOL2 わ・た・し流

おとぼけな私ですが 好きな本のことや 日常のなにげない事等 また 日々感じたことも書いていきます。

桃花徒然 その77

2022-12-20 09:54:19 | 永遠の桃花

枕上書 番外編より

 

ぐっすり眠った鳳九、目覚めて、帝君の寝顔を見た時、

いつもの習慣でキスをしようとしたが

ふと  帝君は閉閑したはず!と思い出した。

ハッと我に返って ベッドに正座する。

そうだ・・・帝君を見送って  青丘に帰るため

ゴンゴンを探していたところに 連宋殿下の使いが

自分を呼びに来た。 元極宮へ行くと  ゴンゴンが

誤って  祖てい神の閉閑法陣に触れ  二十六万年前の

洪荒時代にタイムスリップした事を聞かされた・・

祖てい神の話しでは  さほど心配には及ばない、

法陣の光波の軌道を計算すると 四百と四十九日も

かからずに戻る、との事だった。

でも・・鳳九は心配で 居ても立っても居られない。

祖てい神に頼み込み、自分もゴンゴンの行った時代に

送ってもらった・・・

そうして、金鏡湖のほとりに着地したはずだが・・?

なぜ  ベッドの上に  帝君と寝ていたのだ?

鳳九は  混乱した頭で  記憶の断片を集めようと

試みる。

 

その時、帝君も目を覚ました。身体を起こして

座り、静かに鳳九を見つめる。

鳳九はまとまらない頭をフル回転させた。

この帝君は  二十六万年前の帝君で、自分の事は

知らないはずだ、説明しなくては・・・

「は、話しても 信じないかもしれないけど、

私は貴方の妻で・・・二十六万年後から 

時空を超えてやって来たの・・私の息子を探すのに

あ、貴方の息子でもあるけど、あの子は誤って

祖てい神の法陣に触れてしまって・・・ここへ来て

しまった。あ・・・信じられないなら 証明を、うん

あ、貴方の腰の下には・・」

「信じるよ」帝君は鳳九の言葉を遮った。

「貴女が探しているゴンゴンも石宮にいる」

 

ゴンゴンが無事だと聞いて  鳳九はようやく

安心し、ほっと一息ついた。  しかし、帝君の

性分を持ってすれば  こんなに簡単に信じるか?

今度はそちらに神経が行く。

「これで信じたの?」「どうしてこんなに

簡単に信じてしまうの?」

帝君は  落ち着き払って「確かに  私の腰の下には

痣があるからね」

鳳九「私が 貴方の入浴するところをこっそり

見た事があるとは 思わないの?」

帝君は辛抱強く言う。「私の入浴するところ見て

無事に立ち去れるほどの仙力を持っているとは

思えないが?」

鳳九「あ、それはそうだわね・・・だけど、もしか

したら私が・・・」

帝「私に信じて欲しいのか、信じて欲しくないのか

どっちなの?」

鳳九「も・・もちろん  信じて欲しいわ」

 

帝君は頷いてベッドを降りた。

「貴女の言う事を信じるし、今からゴンゴンに

会わせて上げる」

そして、何でも無いように表情を変えず言った。

「会えたらすぐに帰ってしまうのか?」

鳳九は首を振って「私たちは  機縁を待つ為に

四百日以上はここにいるわ。祖てい神はそう

言ったわ」

帝「ああ・・・」言いながら袖を整えて「

四百日以上滞在するのか・・・」彼女を見る。

「この四百日以上  どうするつもりなのだ?」

 

鳳九は帝君と話しをしていくうちに、ようやく

頭を整理する事ができた。「あぁ、」と小さく

言った。今  目の前にいる帝君は  冷淡で 距離を

置き、天山の雪のようだけれど  昨晩の記憶を

たぐり寄せると  表面上近づき難いこの青年は

見た目ほどではないかもしれない・・・

同じベッドで寝る事を許し、寝心地まで気遣った。

それは  自分が未来の妻だから?

・・・うん、まあいっか・・・理由はどうあれ

初めて会ったのに、あんなにも優しくしてくれた

それで十分。鳳九はとても嬉しくなった。

若き日の帝君💖

嬉しさのあまり  鳳九の無邪気ないたずら心が

湧き上がった。  そして 彼女は

ベッド脇に立っている帝君にいきなり

飛びつくと 両腕、両足を 回してしがみついた。

帝君は茫然としたようだったが  本能的に

彼女が落ちないよう 腰を支える。

「この四百日 どうするつもり・・って。もちろん

衣食住お世話になるわ。その恩はこの身でお返しして

帝君と共に  あま~い日々を過ごすのよ」

 

・・・帝君は 頭が真っ白になって  その場に

固まった・・・

鳳九は  帝君の反応に  更に好奇心が湧いた。

いつもからかわれてばかりの立場を逆転出来る

チャンスかもしれない。

彼女は有頂天になり 更に キスをしようとした・・

唇をとがらせ、反応を見ようとして  あら?

なんか・・・変・・・!

帝君を罵る言葉が出そうになって 危うく抑える。

帝君ったら・・・私を狐の原身に変えるなんて🤦‍♀️