VOL2 わ・た・し流

おとぼけな私ですが 好きな本のことや 日常のなにげない事等 また 日々感じたことも書いていきます。

桃花徒然 その80

2022-12-27 16:15:23 | 永遠の桃花

枕上書 番外編より

(難しくて読めない漢字は  全て自己流に変換)

九重天では  墨淵不在の中、神王の座を争う

二つの勢力があった。長老たちは議論を重ねて

(仮に  A上神勢力と、B上神勢力 とする)

暫定的にA上神を神王とする決定を下した。

しかし、それを不服としたB上神の勢いを恐れた

長老たちは  B上神勢力に北荒の地を割譲し、

その土地に関しては 九重天は口出しをしない

という誓約を取り交わす。

長老たちのこの措置は  八荒の平和にとって

最も効果的だった。B上神の勢力は九重天の

勢力には及ばないまでも  自分が覇者として

統治出来る土地を手に入れたのだから、不服は

ないはず・・・と。

 

しかし、長老たちは  B上神が 天地を我が手中に

収めるという野望を持っている事を知らなかった。

彼は 北荒に着くや否や  鬼族と妖族に持ち掛け、

三族の結束を計ったのだ。

そうして、九重天に宣戦布告するに至った。

その後、急ぎ兵を整えた九重天。

両軍は戈水を挟んで対峙するに至り 膠着状態

が続いている。

 

折顔上神は  この件で二度  碧海蒼霊を訪れ、

A上神も  長老たちも、立て続けにやって来た。

九重天の重鎮たちは  七日間待ち続けて懇願した

ので、ようやく 帝君は重い腰を上げた。

暫定的に神王を引き受け  天軍を指揮するために

碧海蒼霊を出る事となり、当然ながら  家族団らん

も減ってしまった。(それでも 一日一食くらいは

食べられなくもないほどなのだが・・・)

 

帝君の従者は  小白姫の心境はいかに?と気遣った

が、以外にも 小白姫は元気で  碧海蒼霊を楽しんで

いる。ゴンゴンを連れて 青丘にまで出かけ、遠くから

自分の祖父母を眺めたりもした。

更には、少かんの住まいがある章尾山を探検しよう

とワクワクしていた。

 

従者は  この件に関しては  帝君の指示を仰ぐ事にした。

青丘は一日で往復出来るが、章尾山は遠く、彼らの

仙力では  三~四日もかけない事には  絶対に帰って

来れないからだった。

 

帝君は 丁度 書斎で  陣法図の整理をしていた。

従者に尋ねる。「彼女は なぜ章尾山に行きたいと?」

従者「彼女たちの時代の女性で 少かん神を崇拝しない

者はいない。せっかくこの時代に来たのだから、絶対

少かん神の故居を見ないわけにはいかない。と

おっしゃいました」

帝君、少しの間考えて

「うん、それも良いでしょう」と頷いた。

従者「帝座、ご安心ください。この度の遠出は、必ず

この臣下が 姫をお守りし、姫と若様の身の安全を

お約束します」

 

帝君は  また  しばし考えていたが・・・

ごく自然な流れのように言った。

「大丈夫、私も丁度  そこで会議があるから。

貴方たちと同行できる」

 

従者はその言葉を  丸っと信じた・・・

しかし・・・九重天の神々が次々にやって来て

なぜ  突然  碧海蒼霊で行われるはずの会議が

十万八千里も離れた章尾山に変更されたのか?

と尋ねられ  ようやく帝君が言っていた会議が

「その 会議」である事を知って 呆然とした・・・

いったい  どこが「ちょうど」なんだ?

謙虚に尋ねる神々に  まさか 帝君が章尾山に探検

に行く未来の妻が心配で同行したいのだ、なんて

言えるはずもない。帝君の威厳を守らねば・・・

「もしかしたら、羽化した少かん神への友情の証

として  のお考えかと・・・」

 

神々は  以外にもそれを信じた。

「帝君は  本当に  情義に厚いお方です」各自

感嘆し、涙をぬぐいながら去っていった・・・

 

従者は  額ににじみ出た冷や汗を拭った。そして、

自分の機転に感謝したのだった。