鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

瓶子透図鍔 金山 Kanayama Tsuba

2016-04-30 | 鍔の歴史
瓶子透図鍔 金山


瓶子透図鍔 金山

 金山には判らない図が多いと述べた。これも瓶子、即ち壺のようなものとみたが、どうだろう、合っているのだろうか。上下に文字のような瓢のような陰陽に構成した透かしがある。判る方がおられたら教えてほしい。

沢瀉透図鍔 正阿弥 Shoami Tsuba

2016-04-28 | 鍔の歴史
沢瀉透図鍔 正阿弥


沢瀉透図鍔 正阿弥

 このような構成であれば沢瀉が何であるかが見えてくる。水草の一つなのだが、金山鐔では判らなかった。そこが魅力の一つでもある。判らない図柄の意味を探り出すのは、知識と、図柄の構成の性質を分解し、それを再度組み合わせて行う。

大野 Oono Tsuba

2016-04-26 | 鍔の歴史
大野


大野

 これは判るだろうか。装飾的であるが故に分り難い図柄だ。決して暗喩はない。波として見えれば千鳥が隠れているのも判る。意匠の面白さが際立つ作だが、このような意匠を生み出した芸術指向を感じとりたい。日本の伝統的な美意識が備わっているのだ。

角大師図鍔 赤尾 Akao Tsuba

2016-04-25 | 鍔の歴史
角大師図鍔 赤尾


角大師図鍔 赤尾

 これも分り難い図柄。赤尾派は江戸時代の鍔工で、陰陽の透かしを巧みとした。この鐔は一本の紐が無造作に丸められているだけのようにも見えるのだが、お守り、呪術的な意味合いのある角大師を表現したもの。頗る簡単な鉄地肉彫地透だが、頗る面白い鐔である。

寒山拾得図鍔 大野 Oono Tsuba

2016-04-23 | 鍔の歴史
寒山拾得図鍔 大野


寒山拾得図鍔 大野

 老松背後の三日月と箒を組み合わせて陽に表現した透かしの図。禅画としてあまりにも有名な図であり、主題である寒山と拾得がいなくてもそれと判る。鉄地肉彫地透。金山に似てより骨太な感のあるのが大野。その鉄肌の荒々しい感じも魅力。寒山と拾得は禅に通じた詩人。寒山指月図、や箒を持つ拾得図が、良く描かれる。

団扇透図鍔 古正阿弥Koshoami Tsuba

2016-04-22 | 鍔の歴史
団扇透図鍔 古正阿弥


団扇透図鍔 古正阿弥

 図柄を陰影として表現する陰透とは逆に、主題を陽に表わした作もある。このような団扇を描いたものであれば比較的分り易い。巴に構成しているのも古くからある。わずかに肉彫を加えているため、造形的な面白さだけでなく、表現されている竹という素材感も伝わってくる。ところが、鍔だけでなく装剣小道具の図柄には、昔から暗喩や留守模様などがあり、分り難い図柄も多い。

茄子図鍔 正榮 Masashige Tsuba

2016-04-21 | 鍔の歴史
茄子図鍔 正榮


茄子図鍔 正榮

 巧みに櫃穴を活かして巴状に茄子を構成した作。肉彫と陰透の、これも巧みな複合だ。鉄地高彫や地透を組み合わせた精巧な描写を得意としたのが江戸の伊藤派。図柄を見ているだけでも面白いのに、透かしが際立っている。わずかに金象嵌を加えている。

鬼透図鍔 東龍斎派 Toryusai Tsuba

2016-04-20 | 鍔の歴史
鬼透図鍔 東龍斎派


鬼透図鍔 東龍斎派

 これも影絵のような作品。江戸時代後期に特異な構成美で人気を博したのが東龍斎派。このような印象的な透かしをも遺している。透かしの際の構成線などは、筋肉の動きなど巧みに再現しようとしている。単純な陰影のみの追求ではないようだ。

秋野に兎透図鍔 在哉 Arichika Tsuba

2016-04-19 | 鍔の歴史
秋野に兎透図鍔 在哉


秋野に兎透図鍔 在哉

 物語性が強く意識された作。陰影表現が正確であり、影絵のような面白さがある。この場面、この図柄構成は古金工の時代からあり、我が国の自然観が示されたものと考えられる。美しい陰透が活かされた作である。

波千鳥透図鍔 赤文 Sekibun Tsuba

2016-04-18 | 鍔の歴史
波千鳥透図鍔 赤文


波千鳥透図鍔 赤文

 見事な陰影表現。先の赤坂忠重にも通じる美観が窺えるのだが、赤文が追い求めたのは安親や政随。その美意識がこの鍔の基礎にある。高彫を加えているのも面白いが、千鳥の陰透から櫃穴を経て下の小透へと連続・・・。水面の反射を意図したものであろうか、これも面白い。

波千鳥透図鍔 赤坂忠重 Tadashige Tsuba

2016-04-16 | 鍔の歴史
波千鳥透図鍔 赤坂忠重


波千鳥透図鍔 赤坂忠重

 江戸好みの文様美が追求された作。墨絵のような曲線を活かしたもので、イラスト風、マンガ風と言っても良いだろう。この辺りにまで赤坂派の作風が展開されると、初代の生み出した風情は失われてしまうが、新たな面白味が出ている。しかも古赤坂に見られる粋に通じる美観の展開として江戸好みが追求されているのだ。


赤坂

雨龍透図鍔 忠時 Tadatoki Tsuba

2016-04-15 | 鍔の歴史
雨龍透図鍔 忠時



雨龍透図鍔

 鉄地日足鑢仕立てに陰透で龍神を表現。何とも簡潔な透かしだが、印象深い。これが陰透、小透の魅力であろう。



雨龍透図鍔 忠時

 江戸金工赤坂忠時の、特質が窺える、透かしに妙なる美観を求めた作。子供のいたずら描きのようだが、何とも面白味がある。そもそも赤坂鍔は、前に紹介したように、線描写の曲線に特徴があり、独特の陰影を生み出した流派。時代が降ってくると新味を求める結果となり、文様表現においても他工とは違った側面を示した。

法螺貝透図鍔 正阿弥盛国 Morikuni Tsuba

2016-04-14 | 鍔の歴史
法螺貝透図鍔 正阿弥盛国


法螺貝透図鍔 正阿弥盛国

 層状に合わせ鍛えした地鉄を磨り出し、その肌合いをみせた変り金が面白い出来。透かしは法螺貝が複雑な陰影で表現されている。同時に輪宝を透かしており、密教に関わる者、修験者の持ち物であったろうか、興味が深まる。裏面は鉄地。即ち朧銀、素銅、鉄の組合せに赤銅覆輪、小透、平象嵌と、様々な技法を駆使したもの。

桐透図鍔 西垣勘平 Nishigaki-Kanpei Tsuba

2016-04-13 | 鍔の歴史
桐透図鍔 西垣勘平


桐透図鍔 西垣勘平

 鍛え強い鉄地に金布目象嵌を簡素に施し、これを背景に桐樹を陰に表現している。複雑ながら陰影の美観に優れている。かつて頗る簡素な、ワンポイントのような小透であったものが、次第に複雑な出入りの組合せからなる装飾へと変化しているのが判る。