鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

吹寄図鍔 古赤坂 Ko-Akasaka

2016-06-30 | 鍔の歴史
吹寄図鍔 古赤坂



吹寄図鍔 古赤坂

 松葉などの上に降り積もった雪を思わせる図。この中にもクロスのような構成が隠されている。左右のイチョウの葉のような部分がそれ。

糸巻に花図鍔 古正阿弥 Ko-Shoami Tsuba

2016-06-28 | 鍔の歴史
糸巻に花図鍔 古正阿弥


糸巻に花図鍔 古正阿弥

十字に構成された糸巻。その背後に花弁をやはり十字に配している。昔から糸巻と呼んでいるが、クロスを隠し込んだ図だろうか、どうだろう。素敵な構成であり、純然たる和風の文様とも異なる。

十字に光背図鍔 金山 Kanayama Tsuba

2016-06-27 | 鍔の歴史
十字に光背図鍔 金山


十字に光背図鍔 金山

 神々しい光の存在とクロス。キリシタンが用いた鐔に違いないと考えたが、どうだろう。あまりにも分かりやすいことから、禁制以前の作。このような歯車状の文様を、歯車を利用した器物である「時計透」とも呼んでいる。ポイントは四方に配されたクロス。
 大磯の澤田美喜記念館で、キリシタン鐔がこの5月から公開されている。名品というわけではないが、ちょっと気になっている。

破扇図鍔 京透 Kyo Tsuba

2016-06-25 | 鍔の歴史
破扇図鍔 京透


破扇図鍔 京透

 これも破れ扇を題材にしたものだが印象が異なる。京透と極められているがどうだろう。四方に文様を構成する手法は、鐔という器物であるが故、また、木瓜形という性格から安定感がある。素敵な文様表現が完成されている。特に十文字が浮かび上がってくるのが面白い。

瓢箪図鍔 古正阿弥 Koshoami Tsuba

2016-06-18 | 鍔の歴史
瓢箪図鍔 古正阿弥


瓢箪図鍔 古正阿弥

 上下に瓢箪を構成しただけで、耳に金の布目象嵌を枯木のように配している。正阿弥らしい作風。図柄がいい。蔓が図に構成されているのもいい。これが瓢箪形になっているのも面白い。巧みだ。

文繋図鍔 尾張 Owari Tsuba

2016-06-18 | 鍔の歴史
文繋図鍔 尾張


文繋図鍔 尾張

 なんとも面白い図柄構成だ。耳と切羽台を文様で繋いでいる。菱、茗荷(だと思う)、雁金の組み合わせ。上下左右不均衡であり、図柄に動きがあり、しかも空間が巧みに活かされている。優れた図だと思う。


鉢の木図鍔 西垣 Nishigaki Tsuba

2016-06-17 | 鍔の歴史
鉢の木図鍔 西垣


鉢の木図鍔 西垣

 同じように梅、松、桜を素材としながら、これに雪(あるいは斧)を加えることによりまったく異なる図柄とした。何度も紹介しているのだが、「いざ鎌倉」で知られる佐野源左衛門の鉢の木を意味している。この鍔では耳の内側と、笄櫃に雪を暗示している。Webで「鉢の木」を検索すると、食べ物屋ばかりが出てくるのは悲しい。

菅原図鍔 赤坂 Akasaka Tsuba

2016-06-16 | 鍔の歴史
菅原図鍔 赤坂


菅原図鍔 赤坂

 赤坂と極められた、肥後風の造り込みになる作で、味わい格別。この図の背景にあるのは歌舞伎や浄瑠璃で人気のあった『菅原伝授手習鑑』。登場する人物、すなわち梅王丸、松王丸、桜丸の三人。こうした洒落た構成も江戸時代には楽しまれた。

松竹梅図鍔 忠時 Tadatoki Tsuba

2016-06-15 | 鍔の歴史
松竹梅図鍔 忠時


松竹梅図鍔 忠時

 おめでたい席で用いられたのであろう、とても分かりやすい図柄。多くの金工がこの図を手掛けている。このような作例を見ると、赤坂派の鐔工は、個性を生み出そうとしていることが良く分かる。