林和靖図鐔 藻柄子宗典
中国宋代の詩人。喧騒を嫌い西湖の湖畔にひっそりと暮らした。梅と鶴を好んだという背景を表現している。宗典らしい肉彫地透金銀素銅の象嵌。
林和靖図鐔 藻柄子宗典
中国宋代の詩人。喧騒を嫌い西湖の湖畔にひっそりと暮らした。梅と鶴を好んだという背景を表現している。宗典らしい肉彫地透金銀素銅の象嵌。
菊慈童図鐔 藻柄子宗典
名水「菊水」の語源ともなった、古代中国の菊慈童の伝承を描いた作。宗典には、このような透かしを施さずに濃密な高彫象嵌の技法を駆使した作もある。草木の表現は赤銅地の秋草と似て濃密な描写。背景の透かしがないため、人物には濃密な金象嵌を施して存在を際立たせている。
賢者図鐔 藻柄子宗典
我が国で古典というと古代中国の書物のこと。人間社会の煩わしさを捨てて山中に潜んで生きた賢者を題材にした図が多い。世俗を捨てるという生き方への憧れもあったのだろう。
李白観瀑図鐔 藻柄子宗典
古代中国の詩人李白が酒を友として勇壮な滝を眺める場面。この場面は大変に好まれたと思われ、多くの作品が遺されている。
安宅図鐔 藻柄子宗典
奥州に逃れる源義経一行が、安宅の関を通過するときの、弁慶の活躍伝承。弁慶が主である義経を叱りつけて難を逃れた場面。歌舞伎にも採られてあまりに有名。宗典独特の展開図としている。
宇治川戦陣図鐔 藻柄子宗典
宗典には美濃彫風の作と、このような群像を描いた作がある。
宇治川先陣は源平合戦の中でもあまりにも有名な場面。武士が備えていなければならない資質を鮮明にしている物語だ。昨年の『鎌倉の十三・・・』では義経がこの二人に先陣争いを演じさせ、その隙に軍勢を渡河させた、という演出をしたのだが、それに何か意味があったのだろうか。大体ふざけた内容を専らとする作家の作品だから、ドラマのいたるところに無益な演出が点在していたのは残念であった。
秋草図鐔 藻柄子宗典
菊花を主体とした秋草図鐔。素見すると美濃彫と間違える。宗典というと和漢の歴史人物や合戦図などを立体的構成出高彫肉に表現した躍動感のある作風で知られている。だが、このような美濃彫風の作品も遺しており、出身は、所謂美濃彫を遺した金工ではなかろうかとの見方もされている。赤銅地高彫金色絵。
菊花図鐔 赤坂忠時
大輪の菊花。花弁が長くしかも優雅に曲線を描いている。菊の栽培が盛んであった江戸時代に生み出された種類であろうか、現代でも秋の風物として造り菊がいたるところで飾られている。曲線の美観に尽きる。
菊花図鐔 赤坂忠時
同じように大きく開いた花の上に葉を重ねている構成。赤坂鐔工の感性は、このように菊花を展開させた。江戸好みの洒落た平面美と言えよう。
菊花図鐔 林重光
これも肥後金工を代表する林派の作品。鐔の輪郭を大きく花開いた菊花としている。その花に葉を重ねている点は構成美のポイントとして見逃せない。
菊花図鐔 河治友直
長州鐔工は植物の図柄の写実表現を得意とした。鉄地にかなり精巧に高彫した多くの作品を遺している。時代の上がる長州萩の鐔工に、菊花を彫り描いた古風な味わいのある鐔がある。古萩などと呼ばれている。この鐔は、その風合いを再現したものであろう。まだ菊の季節には間があるも、素敵な菊花図を紹介する。
菊花図鐔 直光
天地左右対称だが、かなり異風な造形。菊花としたが図柄の真意は判らない。骨太な感があり、江戸時代末期という時代背景もあるのだろうか。頗る興味深い。
銘を間違えて記していました。
鍛冶の呼称で知られる細田直光の作であります。直光の鐔は遺例が少なく、とても貴重である。
巣籠鶴図鐔 忠重
赤坂忠重の肥後風の作。松、梅など樹木を採り入れた図柄の鐔には、耳を採り入れずに造形する例が多い。
鶴の背景は沈んでゆく夕日。遠く眺める夕日はもやもやとした感じ。そんな太陽を耳に表現しているのであろう。