秋海棠図鐔 平田
秋海棠図鐔 平田
平面的な描法は平象嵌だけではない。平田七宝の作風を過去に紹介したことがある。彫り込んだ地面に文様に沿ってガラス質からなる色合いの美しい物質を象嵌する。技法としては溶融したガラス質物質を流し込んで固着するところから始まったが、後には別造りした文様を嵌め込むという手法が採られた。秋海棠(日本産ベゴニア)図のこの鐔については、技法までは判断できない。金線で文様を縁取っていることから、別造の各部を嵌め込んだのかもしれないし、一部に金線が見えないところがあるので、地面に直接流し込んだのかもしれない。現状での判断は不可能。こうした技術的な問題が作品に大きな興味を与えることになる。この鐔も、グラデーションの付いた七宝を多用している。拡大観察してみると、七宝の持ち味が判る。表面に生じている微細な穴が独特の質感を生み出している。金線が、強く弱くと連続しているのも美観に繋がっている。七宝のすべてが平面的描法とは限らない。ふっくらと量感のあるものもある。本作の場合には平面描写が活かされていると言えよう。
秋海棠図鐔 平田
平面的な描法は平象嵌だけではない。平田七宝の作風を過去に紹介したことがある。彫り込んだ地面に文様に沿ってガラス質からなる色合いの美しい物質を象嵌する。技法としては溶融したガラス質物質を流し込んで固着するところから始まったが、後には別造りした文様を嵌め込むという手法が採られた。秋海棠(日本産ベゴニア)図のこの鐔については、技法までは判断できない。金線で文様を縁取っていることから、別造の各部を嵌め込んだのかもしれないし、一部に金線が見えないところがあるので、地面に直接流し込んだのかもしれない。現状での判断は不可能。こうした技術的な問題が作品に大きな興味を与えることになる。この鐔も、グラデーションの付いた七宝を多用している。拡大観察してみると、七宝の持ち味が判る。表面に生じている微細な穴が独特の質感を生み出している。金線が、強く弱くと連続しているのも美観に繋がっている。七宝のすべてが平面的描法とは限らない。ふっくらと量感のあるものもある。本作の場合には平面描写が活かされていると言えよう。