くしこ図鐔 楽寿
角形鐔に見えるが、ナマコを干したクシコを意匠したもので、ちょっとした変り形。。肥後の名工楽寿の作。筆者は食べたことはないのだが、古くからある珍味だそうだ。その生産の過程を示す一場面を鐔にしてしまうのだから面白い。
くしこ図鐔 楽寿
角形鐔に見えるが、ナマコを干したクシコを意匠したもので、ちょっとした変り形。。肥後の名工楽寿の作。筆者は食べたことはないのだが、古くからある珍味だそうだ。その生産の過程を示す一場面を鐔にしてしまうのだから面白い。
三猿群馬図鐔 八道市平友清
同じような形状が複数あれば変り形などとは呼ばれないのだろう。天地左右非対称の変り形。図柄は放牧された馬と三猿。三猿図には明確な意味があるのだが、馬との採り合わせが判らない。この形状も、何か隠された意味があるのだろう。とても興味深い作品である。
猛虎図鐔 赤文 文子
これも変り形としては奇抜。単純そうで類例が見当たらない。題材の虎に関わる意匠なのであろうかと想いを廻らせてみるのだが、思いつかない。朧銀地強弱変化のある片切彫。赤文の特徴的図柄、及び彫口だ。
竹に雀図鐔 石黒派
図柄は写実的で、しかも細部まで精密な描写。鐔の形が奇妙で、夢の中にあるような、不思議な感覚。変り形鐔とは言え、穏やかな印象に包まれている。
日足に水玉図鐔 光隣
奇抜な形状の鐔。木瓜形に分類できるのであろうか。放射状の線を印象付けるためには、この造形は良いかもしれない。光隣は肥後金工。肥後金工らしからぬ面白さに満ちている。
蛇図鐔 長義
変り形鐔というと外形が不定形の作を指すが、この場合は、外形はもちろんだが、頭をもたげている様子まで写実的に彫り描いている。なんと奇抜なことであろうか。長義は陸奥国岩代の武士。
牛図鐔 庄内金工
素朴な風合いが魅力の鐔。庄内と極められている。古正阿弥鐔にも似た図があった。牛の身体が鐔の外形となっている変り形。この不定形の鐔形も魅力の一つ。耳で形成されて綺麗に整った造形は安定感があって良いだろう。だがこうした耳を考慮しない鐔も楽しめる。
猿猴捕月図鐔 古正阿弥
時代の上がる正阿弥派の作品を紹介している。これは禅に通じる画題。特にこの図は古くから知られていたようだ。猿の顔に素銅象嵌。耳に猿の身体と櫃穴に三日月を意匠している。これによって丸みのある鐔だが、変り形鐔となっている。
唐花雁金図鐔 古正阿弥
古典的な香りの強い、品位の高い作。唐花の使い方がいい。雁金はままある要素だが、地鉄の良さと、地面の抑揚が働き合って変化に富んだ地相を呈している。古調で味わい深い作品である。
牛図鐔 古正阿弥
とても面白い図柄だ。江戸時代に間々見かける牛は、これを手本にしたのであろうか。簡単な陰影だけの図だが、何とも言い得ぬ味わいがある。
牛の姿など決して上手だとは言えない。でも面白いのだ。
引両図鐔 古正阿弥
帯を横にしただけの極めて簡潔な図柄。これを補うように、耳に鑿金の布目象嵌を廻らしている。一部使用擦れによって布目象嵌が失われているも、それも自然な景色となっていて悪くない。
雁金繋図鐔 古正阿弥
切羽台と耳を雁金で繋いだ図はまま見かける。これはその構成要素である雁金に変化を求め、文様美の自由度を高めた作品。曲線の構成が素敵。細い線のみの構成もいい。