アンソロジー1/ビートルズ
1995年にリリースされたビートルズの未発表音源集。その第一弾である本作にはデビュー前の貴重な録音から、1964年12月発売の第4作『Beatles for Sale』までの時期の音源が収録されている。
Disc1の1曲目はジョンが生前にレコーディングした曲に3人の演奏をオーバーダビングした「新曲」、「Free as a Bird」だが、それ以外は全て当時の録音。そのDisc1の3曲目、バディー・ホリーの「That'll Be the Day」がビートルズの一番古い音源だというのが、このグループの音楽的で来歴を示しているようで興味深い。4曲目、「In Spite of All the Danger」の「マッカートニー=ハリソン」や12曲目「Cry for a Shadow」の「ハリソン=レノン」という「レノン=マッカートニー」以外の作曲クレジットが見られるのも興味深い。
セッションでいうと10曲目から12曲目までのハンブルクでのレコーディング、15曲目から19曲目までのデッカでのオーディション(ビートルズが落ちたオーディションとして有名)などが興味深いところ。個人的には30曲目からの63年のストックホルムライブの模様を収めた個所がお気に入り。女性ファンの歓声もまだなく、「ビートルズのライブ」が楽しめる。
Disc2に行くと、1曲目から3曲目からは63年の王室主催の演奏会での演奏。3曲目の「Twist and Shout」の前のMCでジョンが「安い席の方は拍手をお願いします。その他の方は宝石をじゃらじゃら鳴らしてください」と皮肉たっぷりの発言をしたことで有名。
そして個人的にこの『アンソロジー1』の白眉にあげたいのが、8曲目の「Can't Buy Me Love」。ビートルズの6枚目のシングルとして有名なこの曲だが、パリのEMIパテ・マルコニ・スタジオで録音されたこちらのバージョンはコーラスワークが素晴らしい。惜しいかな、恐らくはポールが歌詞をとちったために(歌詞が飛んだのか一部スキャットになってしまっている)このバージョンはお蔵入りになり、アビーロードで再録されたようだ。
9曲目は64年2月、アメリカ進出を果たしエド・サリバン・ショー(多くの若者が見たため、ビートルズ出演の時間、アメリカの犯罪発生件数が落ち込んだという伝説の番組)に出演した時の「All My Loving」の演奏。エド・サリバンがビートルズを紹介した直後に沸き起こるすさまじい歓声が印象的だ。11曲目のエレクトリック・バージョンの「And I Love Her」、17曲目の3拍子の「I'll Be Back」もファンとしては興味深い。
19曲目のジョージの未発表曲「You Know What to Do」なんかはアルバムに入っていてもおかしくない出来。そして、25曲目「Eight Days a Week」も個人的にはアルバムに収録されているバージョンよりもお気に入りだ。
ちょっとマニア向けだが、そんな感じで楽しめる全60トラックである。
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