愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

龍澤寺の山門の「拱北之古道場」

2013年03月04日 | 信仰・宗教
西予市城川町龍澤寺の山門に掲げられている扁額に「拱北之古道場」と書かれている。この意味であるが、調べてみると、諸橋轍次『大漢和辞典』に出ていた。「拱」は、こまねくの意味で、「拱北」(キョウホク)は「衆星が北辰に向うこと。拱辰に同じ。」とある。北辰とは北極星のこと。天体の中で動くことのない北極星に、多くの星が向かうという意味が転化して、「四方の民が天子の徳化に帰する」の意味になったようである。龍澤寺の「拱北之古道場」については、四方(東西南北)の民(民衆)が天子に集まることがさらに仏教の布教に重ねあわされて、「多くの衆生(民衆)が集まってくる古くからの仏教の道場」という意味に解釈できる。(これは先日3月2日に、宇和町内の方から質問を受けたので、調べて回答した内容である。)


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