去年(平成22年)の8月、香川元太郎先生に唐突に連絡を入れた。全く面識はなく、本当に突然のアポだった。愛媛県歴史文化博物館で香川先生の作品を展示したいという申し出。これを快く承諾していただき、9月中旬に夏休みの展示会で借りていた資料返却で東京に行く際に、香川先生のご自宅まで足をのばして、直接ご挨拶と打合せをした。
当初は、平成24年度の開催を考えていたが、館内の今後の展示スケジュール等の調整から、平成23年ゴールデンウィークに開催という案が会議で急浮上した。たった半年後である。通常、この規模の展示を準備するにあたって作者との打合せ等には少なくとも1年以上はかかる。無理を承知で香川先生に申し出た。
先生は既に半年後のスケジュールが入りつつあったようで、しかも次作の迷路絵本の創作・出版もタイトなスケジュールだとうかがった。こちらが展示会を準備するにしても、実際には香川先生の手をわずらわすことが多いのは目に見えていたので、忙しい先生をさらに忙しくすることに申し訳ない気持ちだった。しかし、もう後ろには引き下がれない。どうしても展示会は開催させたい。その意欲は少しも揺るがなかった。
何せ、この展示会、開催できれば歴史に興味を持つ子どもが確実に増える。愛媛において、歴史・文化に興味を持つ次世代の養成のためにも、どうしても開催させたい展示会だったのだ。実際、自分も香川先生の迷路絵本を楽しんでいた。大人も充分楽しむことができる。子どもから大人まで歴史を学びながら楽しむ。こんな展示会の企画はなかなか思いつかない。
9月14日、香川先生のご自宅にうかがって開催の内諾をいただき、展示の準備がはじまった。
それにしても、香川先生の迷路絵本との出会いは、何と自宅だった。娘が幼稚園の頃に家で『時の迷路』を読んでいたのだ。見ると「愛媛県生まれ」と著者紹介に書いてある。そうか!歴史イラストの香川元太郎さんか!と、その時にはじめて理解できた。愛媛では、村上水軍博物館に香川先生の絵が飾ってあり、「歴史イラストの香川先生」のイメージを持っていたが、迷路絵本を出版されているとは、恥ずかしながら存じ上げなかった。娘が読んでいた『時の迷路』を即、取り上げて、自分が楽しんだ。そして職場に持って行って、周囲にも「愛媛出身でこんな人がすごい人がおる!」と話をした。数ヵ月後(平成21年4月)に職場の同僚に、香川元太郎展をやりたいという雑談・相談をし、それが2年後に実現することになった。
娘には「私の『時の迷路』の本はどこいったん?いつ家に持って帰ってくれるん?」と何回も言われたが、娘の本はまだ私の職場の机の上にある。家に持って帰るの、もうちょっと待ってちょうだいね。
※今日、開幕しました。特別展「時の迷路―香川元太郎のフシギな世界-」。6月12日まで。詳細はこちらです。
http://www.i-rekihaku.jp/exhibition/index.html