愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

拙著『触穢の成立』の書評が「図書新聞」に掲載されました。

2013年06月19日 | 日々雑記
大本敬久『触穢の成立──日本古代における「穢」観念の変遷』創風社出版
日本的文化という構造のなかで「穢」や「ケガレ」、「触穢」といった用語とその概念を考究する──歴史学的研究と民俗学的研究との往還を通して進められる分析
評者 皆川勤氏



昨年度末に刊行した拙著『触穢の成立』(創風社出版)。発行部数もさほど多くはなく、内容も自分の昔の修論をベースとしていて、一般の方にわかりやすく読んでもらう体裁をとっていないこともあり、多くの人の眼には触れることのない本だと思っていましたが、この度、図書新聞に評論家・皆川勤氏による書評が掲載されました。ありがたいかぎりです。

最初は、単なる書誌紹介だと思っていたのですが、実際、図書新聞を見てみると驚きました。朝日新聞や読売新聞での書評よりも長文で、しかも内容も濃い。身が引き締まりました。

この本を出す、出さない。いや出せない、書けない。いや出さねばならぬ。十数年前からずっと自分の中に葛藤がありました。出すなら修論を土台にして広くケガレ論を展開し、日本文化における規範や秩序といったものにまで言及しないといけない。しかしその到達点までの遥かな道程が理解できるだけに、長時間、足踏みをしていました。(自分も40代になり、20歳代の原稿をいつまでも囲っているわけにもいかない。長い時間をかけて次の成果を出せばいいかな、とようやく吹っ切れて、刊行に到りました。)

書評のさいごに「著者が、本書の後に、日本文化の基層へ、さらなる鋭利な分析をくわえていくことを期待したいと思う。」とあります。

ありがたい叱咤激励と受け止め、次のケガレ・穢研究の成果を出す準備を少しずつ進めていこうと思っています。



図書新聞のサイトはこちら
http://toshoshimbun.jp/books_newspaper/week_article.php

評者による書評の文章はこちら。
「フーコの日日雑記」
http://fuco1123.jugem.jp/?cid=9


【歴史文化講座】宇和島市吉田町の秋祭り

2013年06月06日 | 祭りと芸能
吉田町の秋祭りについて喋ります。牛鬼や御車、御船、鹿踊などについて。

県の南予地域活性化特別対策本部というのがあって、南予の自然、食、文化の「ブランド化」や、いやし博以降の観光フォローアップを目指して活動中らしい。八幡浜はみかんプロジェクトですよね。あとは予土県境のリバースポーツ、宇和島のブラッドオレンジとか、みかん研究所の柑橘夏季販売実験もかな?

なんだかんだこの半年間、吉田祭りについて無形民俗文化財としての調査やら、祭り道具の修繕、修復の監修やらで慌しかったのですが、吉田祭りがこの県南予地域活性化事業に組み込まれているゆえのバタバタ感があります。今年の11月3日の祭日は多分例年以上に賑やかになるでしょう。地元も盛り上がりつつあります。

いずれにせよ地域の中での伝統が、外からの力で変容して、気づかぬうちに文化財としての価値が損なわれてしまう。そんなことが無いようにこの半年、いろいろ心くばりをしてきたつもりではありますが、さあどうなることやら。心配でもあり、楽しみでもあり。

そんなこんなで、これまで商工会などで話していたことをまとめて、市民対象でも話をすることになりました。

吉田町の活性化に少しでも寄与できれば。でも拙速にはならないように。なんかヤジロベーみたいな心境であります。

いずれにせよ、この講演の機会は自分にとってもありがたいものであります。

6月15日 公開講演会「東北から伝播した四国の鹿踊」

2013年06月03日 | 日々雑記
6月15日(土)に仙台市民活動サポートセンター市民活動シアターでの東北民俗の会公開講演会。
鹿踊について喋る予定です。

【日時】
平成25年6月15日(土)13:00~16:00

【主催】
東北民俗の会

【公開講演】13:00~14:30
演題:東北から伝播した四国の鹿踊
講師:大本敬久
内容:仙台から伊予国宇和島藩に伊達家が入部した関係で江戸時代初期に伝播したとされる鹿踊。西日本に数少ない民俗芸能です。現在、愛媛県南予地方の約90地区にて伝承されていますが、その鹿踊の伝播の歴史や現在の状況を紹介することで、東北地方の鹿踊の歴史性を再考したいと思います。

【神楽上演】15:00~16:00
演目:「鬼門」・「日本武尊」
出演:雄勝法印神楽保存会


東北民俗の会のホームページはこちらです。
http://tohokuminzoku.com/