このたび、八幡浜市の県指定無形民俗文化財である川名津神楽・柱松に関する書籍が、地元の川名津神楽保存会から刊行された。364ページにわたる大著で、神楽の種目・台詞がすべて翻刻され、本の後半はこれまでに発表されている川名津柱松・神楽に関する研究成果を掲載している。掲載されているものは次の通りである。
『八幡浜市誌・八幡浜の文化財』、『愛媛県史民俗編下』、大本敬久「厄祓いの構造に関する一考察ー八幡浜市川名津柱松の分析を中心にー」(初出:『愛媛県歴史文化博物館研究紀要』1号、1996)、守屋毅「柱松素描」(初出:『愛媛の祭りと民俗』雄山閣、1978)、八幡浜高校地歴部「八西地方の神楽」(初出:『地歴研究』21号、1989)、野口光敏「愛媛の年齢集団ー若者仲間覚書」(初出:『伊予の民俗』18)、秋田忠俊「八幡浜の柱祭りと柱松」(初出:『伊予の民俗』5)、大本敬久「川名津柱松」(南海日日新聞連載記事、2000)
私がこれまで書いてきたものも掲載されているが、何と言っても、私が八幡浜高校2年~3年生の時に、顧問赤松環先生(現宇和島東高校)の指導のもと調査をした成果である「八西地方の神楽」が載っていたのは嬉しかった。というのも、この文章の載った『地歴研究』の残部はすでになく、また、この神楽調査が私の民俗研究のスタートでもあったわけで、久々に読み返してみると、感慨深くなってしまう。
さて、愛媛県内には各地に神楽が伝承されているが、神楽に関する充実した書籍はこれまでなかった。今回の刊行は、地元でもその詳細をしられていない祭り・芸能を知ってもらうための書籍としても有用であるし、また、県内の神楽をはじめ各種の芸能研究の刺激になることだろう。
一般にも販売されているようで、一冊2000円(程度だったと思います)。連絡先は、川名津神楽保存会神楽本編集責任者である山本政司さんまで。(山本さんは川名津区長さんでもあります。)あまり部数を刷っていないようでしたので、購入されるなら、お早めの方が良いかと思います。
2000年09月29日