愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

愛媛のパワーフルーツ「クリスマスオレンジ」構想

2011年05月15日 | 生産生業

八幡浜をはじめ、愛媛の柑橘農業の振興につながるのではないかと考えた私案です。これは平成23年2月に思いついて、それから八幡浜や宇和島など南予地方の地域づくりに尽力している方々に雑談で話していることです。(今現在、約7~8人ほどにこの話をしています。)

思いつきの発端は、数年前から毎年気になっている4月14日の「オレンジデー」。愛媛ではバレンタインデー、ホワイトデーの翌月14日はオレンジデーと設定し、細々と紹介されているが、このオレンジデーの致命的欠点は、この4月には柑橘は収穫の最終時期でほぼ種類が限られているということ。柑橘を贈答しようにも、一番の旬の時期は外れている。これはいただけない。この違和感をずっと感じていた。やはり旬の時期、つまり12月前後が適期だろう。かといって、12月14日をオレンジデーに変更するのも今となってはできない話。

もう一つの思いつきの発端。これは今年正月にはじめて気づいたことだが、海外に愛媛の柑橘の販路を広げられるかということを考えていたら、アメリカでは温州みかんのことを「SATSUMA」と呼ぶと知ったことである。明治時代、温州みかんが日本からアメリカに導入される際に薩摩(鹿児島県)が関係していたため、この名称が定着しているのだ。愛媛の温州みかんを世界で販路拡大を考えるのにサツマっていうのも違和感がある。そう思いながら、北米での温州みかんの状況をネットでさらに調べていた。すると、興味深い記事に出会った。カナダでは、クリスマスの時期に温州みかんが出回るが、これを「クリスマスオレンジ」といっている、という記事であった。

この「クリスマスオレンジ」の情報は自分にとって衝撃的だった。日本ではクリスマスオレンジなんて商品はないようだし、先に書いた旬の問題でいえば、クリスマスは温州みかんにとって、一番いい時期なのだ。

よく考えてみると、さほど旬ではないイチゴがクリスマスには大量に生産されるが、時期的には無理をしながらの生産である。クリスマスの果物イコールケーキのイチゴというイメージが強いが、なぜに柑橘がここに絡んでこなかったのか。不思議でたまらない。クリスマス時期には多くの家庭でみかんを食べているではないか。

この柑橘・温州みかんをクリスマスの中で価値付けて定着させることができないか?いやできるのではないか?その思いで、数日は寝ることもできないほど頭の中が「クリスマスオレンジ」のことでいっぱいになった。

そもそも、バレンタインデーのチョコレートや、節分の恵方巻など、昔ながらの伝統的に見える年中行事も、実は戦後、もしくはごく近年に定着した慣習である。当然、クリスマスケーキ(いちご付き)も近代以降の創出文化である。

ならば、八幡浜や南予・愛媛の特産品「みかん」を国民の年中行事に組み込むことはできないか模索した結果、クリスマスシーズンに柑橘を贈答すると縁起がいいという物語を流行らせるのがいいのではないかと考えるようになった。

その物語とは、こうである。

「一年で最も日照時間の短い冬至・クリスマス時期に、太陽の象徴である『みかん』を贈答しあうことで、活力が付与され、新たな一年に向かって進むエネルギーを得ることができる。」

オレンジ色は、太陽の色である。太陽のエネルギーの減退するクリスマスに、みかんをもらうと、縁起がいい。こう考えるのだ。現代風にいえば、まさにパワースポットならぬ、パワーフルーツである。

「サンタさんもトナカイと寒い雪の中、プレゼントを配ってまわるのだったら、暖色系のオレンジを持ってもらうと、少しは温かく感じてもらえるのではないかな?」

高価なプレゼントを贈答するという慣習も悪くはないが、もっと素朴に、バレンタインデーの義理チョコのように、家族、親族、友人、知人、同僚、恋人に旬の愛媛の温州みかんを互いに贈り合うのもすばらしいと思った。

みかんを段ボール箱でそのまま渡すのもいいが、おしゃれではない。たとえば、贈答しあうのは、温州みかん等の柑橘1個でもいい。その柑橘をラッピングしてもよし。皮にペイントしてもよし。メッセージを書くもよし。加工してスイーツとするもよし。(みかんケーキ等)。極端には愛媛の温州はその時期は旬で美味いのでそのままでもよし。そしてクリスマスカードを添えてもよし。

結局、クリスマスシーズン、イチゴだけが繁昌するのではなくて、みかんもいけるのではないかと考えた訳である。

このクリスマスオレンジ、流行するにはまずは若い人からがいい。例えばの話、八幡浜高校商業研究部にお願いして、校内・自宅で、「クリスマスオレンジ」運動をおこす。また、生産団体・販売業者にお願いして、11月頃から、温州みかん1個をラッピングしたおしゃれな「クリスマスオレンジ」サンプルを製作・販売する。

クリスマスオレンジの旗を、農水省関連の助成金をもらって、クリスマスオレンジ宣伝用のものを仕立てる。

そして、12月のクリスマス商戦ころに、松山、大阪、東京(新橋の愛媛アンテナショップ前)に行って、クリスマスオレンジを、配って、テレビ局に取材してもらうもよし。

いずれは、ローソンかファミリーマートで大々的に販売してもらう。節分の恵方巻のように。

チラシ、ホームページ、ツイッター、フェイスブック等で「クリスマスオレンジ」をもらうと、パワー注入!縁起がいい!という説明を流行らせる。

以上、パワースポットならぬ、パワーフルーツとして、クリスマスオレンジはいい案だ!と思って、南予各方面の関係者に雑談で話している。

もしこれが定着して、1人がみかん5個を配るとして、300万人がクリスマスオレンジを配るような国民行事になったとする。これで1500万個の消費につながるのだ。

12月のシーズンに、いちごのように価格が上昇し、安定すれば、みかん農家の安定収入にもつながる。

果ては、八幡浜・南予・愛媛が「クリスマスオレンジ」の聖地(メッカ)になれば、観光振興のために、12月に恋人のための「温州みかんツアー」だってできる。

日本で流行したら、北米ではクリスマス時期の温州は好まれるらしいので、海外販売も推進し、アジアでも台湾や香港も消費地としてはいいかも。

こうして、八幡浜・南予・愛媛発の「クリスマスオレンジ」運動が展開し、愛媛の柑橘産業の振興に寄与しましたとさ。

以上が私、大本の妄想的「クリスマスオレンジ」構想。私はこういった構想(妄想)をつづるのみで、実際にその事業展開には直接的には関与するつもりはない。(無責任、ご容赦!)

さて、賛同者がいましたら、ぜひ事業を展開してみませんか?

新しい特産品を創作しながら一から生み出すのではない。八幡浜・南予・愛媛にもともとある、そして一番の強みの柑橘を、すこし手を加えるだけで、全国、そして世界に勝負できる素材だということに気づくこと。これってまさに「汝足元を掘れ、そこに泉湧く」ですよね。


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