愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

企画展「愛媛まつり紀行」の開催

2000年06月27日 | 祭りと芸能

私の勤務する愛媛県歴史文化博物館で、7月11日~9月3日まで企画展「愛媛まつり紀行」が開催される。私も展示担当者なのだが、只今、印刷物の校正や列品作業などで大忙し!無事開催に漕ぎ着ければ良いのだが・・・。
展示内容は、愛媛県内の祭礼風流を主に取り上げる。展示の目玉としては、南予地方の牛鬼の頭を約40カ所から借用し、一堂に公開する。牛鬼の地域差が明瞭になり、南予地方の方々には是非見てもらいたい。また、南予の祭りのもう一つの花形である鹿踊。これは江戸時代初期に東北仙台から伝播したといわれるものだが、東北と南予の鹿踊の比較展示を行う。東北の鹿踊の原型とでもいうべき形状が南予に残っていると思われ、そこを強調した展示となる。また、江戸時代末期に製作された鹿踊の古面も展示する。
さて、愛媛の祭りで忘れてはいけないのは太鼓台とだんじりである。
太鼓台については、現在、新居浜市や伊予三島市などに豪華な飾り幕をつけたものが多いが、今回の展示では、古い飾り幕に注目してみた。注目資料は広島県三原市の能地だんじり。これは明治時代まで新居浜で使用されていたといわれる太鼓台で、現在の新居浜太鼓台と比較すると実に小振り。飾り幕も保存状態はさほど良くはないが、太鼓台の発達の歴史を実感させてくれる。また、大正時代まで新居浜で使用され、その後、香川県坂出に流出した飾り幕も展示する。これらはいわば何十年ぶりかの愛媛里帰りとなる。太鼓台関係資料としては他に、名縫師山下茂太郎、八郎の作品も展示する。
西条だんじりに関しては、東光だんじりの彫刻とその下絵を展示する。幕末から明治時代初期にかけて活躍した魚屋町萬吉の作品。
また、愛媛では各地に船型山車が登場するが、その代表として越智郡大西町紺原の船御輿を実物展示する。この全長6メートルの船を展示室中央に設置する。また、北宇和郡吉田町の魚棚3丁目の山車や越智郡大三島町台のダンジリも実物展示する。いずれも彫刻や人形に嗜好をこらした好資料。
展示総点数は190点で、入館料は大人500円となっています。
この展示期間中の催しとしては、展示解説会が7月22日、8月19日の13:30~あり、私が案内いたします。また、企画展関連講座として、8月6日13:30~「愛媛の祭りと風土」(講師:森正康)、8月27日13:30~「西条だんじりと新居浜太鼓台」(講師:佐藤秀之)、7月30日13:30~「牛鬼と鹿踊-南予地方の祭礼-」(講師は私。)があります。

また、企画展にあわせて展示解説図録も販売します。180頁、カラー写真220点で、愛媛の祭り全般を紹介しています。購入を希望されるなら、博物館友の会(0894-62-6222)までお問いあわせ下さい。以上。

2000年06月27日

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