愛媛県埋蔵文化財調査センターが発行した『史跡「松山城跡」内県民館跡地-愛媛県美術館の建設に伴う埋蔵文化財調査報告書-』を見て、面白い遺物を見つけることができた。出土した土人形の中に鯛の曳山のミニチュアがあるのである。全長4センチほどの小さなものであるが、車の付いた土台に鯛が乗っている形状である。これは、全国の江戸時代の祭礼絵巻を散見すると、四日市祭礼図屏風(三重県個人蔵)や文政8年成立の江戸の神田明神御祭礼御用御雇祭絵巻に似た形状の山車が描かれている。江戸時代に全国で流行した山車の一形態なのであろう。愛媛県内でも形状は異なるが、喜多郡長浜町の住吉神社祭礼に鯛の山車が現在でも出されている。
松山城跡からこの土製品が出土したことは何を物語るのだろうか。江戸時代の松山の祭礼に鯛の山車が登場していたのだろうか、それとも江戸の神田明神の祭礼に土産として買った物が出土したのだろうか、それは不明である。松山の祭礼は現在では神輿が中心で山車は一切出ないが、江戸期にはあったのかもしれない。史料上で確認したわけではないが、興味をそそられる出土品であるには違いはない。
2000年06月12日
松山城跡からこの土製品が出土したことは何を物語るのだろうか。江戸時代の松山の祭礼に鯛の山車が登場していたのだろうか、それとも江戸の神田明神の祭礼に土産として買った物が出土したのだろうか、それは不明である。松山の祭礼は現在では神輿が中心で山車は一切出ないが、江戸期にはあったのかもしれない。史料上で確認したわけではないが、興味をそそられる出土品であるには違いはない。
2000年06月12日