愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

カワウソの造形

2000年06月13日 | 口頭伝承
愛媛県南予地方には、カワウソを象った造形物が何点か存在する。
その一つは、先日開館した宇和町民具館収蔵のカワウソの屋根瓦である。これはどの地区、どの家で用いられていた瓦かは不明とのことだが、カワウソが水に関する動物だということで、火災除けの意味を込めて造られたものだろう。写実的で一見してカワウソだとわかる。「水神」としてカワウソが捉えられているのだろう。
もう一つは、三崎町三崎の八幡神社にあるカワウソの石造物である。光背型の石塔にカワウソがレリーフされているもので、他に類例は見たことがない。製作年代や建造の理由は不明である。ただ、三崎には猫地蔵やら狸地蔵など、化けたりする動物の石造物がいたるところに見られる。おそらく、カワウソも化ける動物の一種として認識されており、それを供養する意味で製作されたものではなかろうか。南予地方には色濃くカワウソ伝承が残っているが、その関連資料として興味深いものである。

2000年06月13日

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